発達障害グレーゾーンの子供のチェックポイント|年齢別の特徴
発達障害グレーゾーンの子供は、発達障害の特徴が見られるものの診断基準に満たないという状態になっています。発達障害と診断されるケースとは少し異なるため、サポートに悩まされることもあるかもしれません。
そこでこの記事では、発達障害グレーゾーンの子供の特徴チェックリストやサポート方法について詳しく紹介していきます。
発達障害のグレーゾーンとは
発達障害のグレーゾーンとは、発達障害の特性が一部に見られるものの、診断基準に達していないという状態のことです。発達障害と診断された子供とは異なり、グレーゾーンは医学的な診断名には該当しません。
まずは、発達障害とはどのようなものなのか、詳しい定義や特徴について見ていきましょう。
- 発達障害とは
- 発達障害はいつ頃からわかる?
- 発達障害の主な分類(ADHD/ASD/LD)
- 発達障害の診断でグレーゾーンとされる理由
発達障害とは
発達障害とは、脳機能の発達が生まれつき偏っているという障害です。発達障害の子供は、小さいうちから行動面や情緒面に、ほかの子供とは違った特徴が見られます。
しかし、発達障害には外見的な特徴がないため、障害を持っていると気づかれないケースもあります。適切なケアを行うためにも、早い段階で診断を受けて発達障害かどうかを見極めておくのが安心です。
発達障害はいつ頃からわかる?
発達障害の症状には個人差がありますが、多くの場合2~3歳頃から特性が目立ち始めるといわれます。逆に言えば、2歳以前に発達障害かどうかを診断するのはかなり難しいものです。
多くの人は、集団生活が始まる3歳以降に特性が顕在化し、診断を受けるケースが増えています。子供が3歳くらいになり、日常生活の中で心配なことがあるときには診断を受けてみましょう。
発達障害の主な分類(ADHD/ASD/LD)
発達障害には注意欠如・多動症(ADHD)や自閉スペクトラム症(ASD)、学習障害(LD)といった種類があります。それぞれの発達障害の特性について詳しくチェックしていきましょう。
注意欠如・多動症(ADHD)
注意欠如・多動症とは注意力が欠如しており落ち着きがない症状のことをいいます。じっとしていられなかったり、おしゃべりが止まらなかったり、衝動的に動いてしまったりするのが特徴的です。
また、注意欠如・多動症には不注意によるミスが起きやすいという特性もあります。多動の傾向が強い場合、園や学校での集団生活がしにくくなるかもしれません。
自閉スペクトラム症(ASD)
自閉スペクトラム症とは自閉症やアスペルガー症候群、広汎性発達障害などの症状の総称です。自閉スペクトラム症の子供は言葉の裏の意味をくみ取れないなど、言葉のコミュニケーションがあまりうまくできません。
また、対人関係の構築がうまくできなかったり、空気を読めなかったりするのも特徴的です。
自閉スペクトラム症の子供はこだわりに偏りがあり、予定が変わったり予期せぬ出来事が起こったりするとパニックに陥ることもあります。
学習障害(LD)
発達障害のうち、学習障害に該当する子供は学習面の不得意が目立つのが特徴的です。
学習障害には文字を読むのが苦手な読字障害(ディスレクシア)や文字を書くのが苦手な書字障害(ディスグラフィア)、計算が苦手な算数障害(ディスカリキュア)などがあります。
これらの症状が出ていると、学校の授業についていけなくなったり宿題を予定通りに済ませられなかったりといった問題が起こります。
発達障害の診断でグレーゾーンとされる理由
「発達障害と診断されるのでは」と思い医療機関にかかったものの、確定診断がおりなかったという方もいると思います。これには、以下のような理由が考えられます。
- 診断日の体調によって症状のブレがあるため
- 診断基準の解釈や、特性の現れ方の程度に医師による判断の差が生じることがあるため
- 発達障害の診断基準に含まれる「幼少期の症状」が曖昧なため
発達障害は正確な診断が難しいものです。診断した日の体調によっては、うまく診断を下せないケースがあります。また、発達障害の診断には医師の主観も含まれることから、医療機関によっては発達障害と診断されないことがあります。
発達障害の診断では、幼少期の症状を把握する必要があります。幼少期に関する情報や記憶が不足している場合、発達障害の確定診断を行うことはできないのです。
発達障害グレーゾーンの子供のチェックリスト
子供が発達障害かもと感じたときにはまず、セルフチェックでおおまかな状況を把握しましょう。ここからは、発達障害グレーゾーンの子供かを判断するためのチェックリストについて紹介します。
- 注意欠如・多動症(ADHD)の子供に多い特徴チェックリスト
- 自閉スペクトラム症(ASD)の子供に多い特徴チェックリスト
- 学習障害(LD)の子供に多い特徴チェックリスト
注意欠如・多動症(ADHD)の子供に多い特徴チェックリスト
以下では、発達障害の一つである注意欠如・多動症(ADHD)の子供によく見られる行動や特徴のチェックリストを紹介します。
注意して行動するのが苦手
- 注意力が足りない
- 注意深い行動ができない
- 飽きっぽい
- 忘れ物やなくし物が多い
不注意によるミスが起こりやすい場合、注意欠如・多動症(ADHD)の症状があるのかもしれません。注意力や集中力がなく目の前のことにすぐ飽きてしまう、忘れ物や紛失が多いのも、注意欠如・多動症の特徴です。
じっとしているのが苦手
- じっとしていられない
- 静かにしていられない
- 落ち着きがない
注意欠如・多動症(ADHD)の子供は静かにじっとしていることが苦手です。騒いで動き回ったり、おしゃべりを続けたり、落ち着きなく手足や周囲のものをいじったりするクセが出やすいのも、注意欠如・多動症の特徴です。
作業が雑で片付けが苦手
- 作業が雑になってしまう
- おっちょこちょい
- 整理整頓ができない
注意欠如・多動症(ADHD)の症状が強い場合、細かい部分に注意が及ばないためにあらゆる作業が雑になってしまいます。また、おっちょこちょいで失敗しやすい、机の上などをきれいに片付けられないといった症状が出ることもあります。
我慢ができず衝動で動いてしまう
- 我慢が苦手
- 衝動的に怒ってしまう
- 順番待ちができない
集団生活の中で子供は我慢をしたり順番を待ったりすることを学びます。しかし注意欠如・多動症(ADHD)の子供はなかなか我慢ができず、衝動的に怒ったり騒いだりすることがあります。また、順番待ちができず割り込んでしまうケースもあります。
細かい作業がうまくできない
- 不器用
- 道具をうまく使えない
- 楽器演奏がうまくできない
- 器械体操が苦手
注意欠如・多動症(ADHD)の子供は日常的な作業があまりうまくできないことがあります。字をうまく書けなかったり、線をうまく引けなかったりするほか、定規やコンパスといった道具が上手に使えないこともあります。
自閉スペクトラム症(ASD)の子供に多い特徴チェックリスト
以下では、発達障害の一つである自閉スペクトラム症(ASD)の子供によく見られる行動や特徴のチェックリストを紹介します。
言葉の発達が遅れている
- 言葉をうまく理解できない
- なかなか話さない
- 発音が不明瞭
幼少期の自閉スペクトラム症(ASD)の症状として、言語の発達の遅れが挙げられます。成長の中でなかなか語彙が増えていかないときや、上手に話ができないときには、発達障害に関連する症状を疑ったほうがいいかもしれません。
空気を読むことが苦手
- 相手の気持ちをくみ取れない
- 雑談がうまくできない
- 場の空気を読むことができない
状況に応じて臨機応変な態度を取れない場合にも、自閉スペクトラム症(ASD)が疑われます。場の空気を読めないために周囲の人に嫌な思いをさせたり、相手が考えていることをうまく把握できなかったりすることもあるかもしれません。
同じやり方にこだわる
- 常に同じ手順でものごとを進めようとする
- 好きなものをずっと見続けている
- 手順が変わると混乱してしまう
自閉スペクトラム症(ASD)の症状をもつ子供は、ルーティンにこだわりすぎてしまう特性を持ちます。普段と同じ手順を頑なに守ろうとし、手順が変わるとパニックに陥ることもあります。
双方向のコミュニケーションが苦手
- 会話のキャッチボールができない
- 受け身になりすぎる
- 一方的になりすぎる
自閉スペクトラム症(ASD)には、コミュニケーションがうまくいかないという特性があります。ただし、自分のことを話しすぎてしまうケースだけでなく、相手の話を聞きすぎて自己表現ができないケースもあります。
対人関係が不自然になってしまう
- 人と目を合わせるのが苦手
- 呼びかけても反応がないことがある
- 表情が乏しい
- 不自然な表情をする
人とのコミュニケーションを自然な雰囲気で取ることができないのも、自閉スペクトラム症(ASD)の特徴の1つです。症状の度合いが大きい場合、人とうまく目を合わせられなかったり、自然な表情を作れなかったりすることがあります。
学習障害(LD)の子供に多い特徴チェックリスト
以下では、発達障害の一つである学習障害(LD)の子供によく見られる行動や特徴のチェックリストを紹介します。
文字が上手に書けない
- 文字のバランスが取れない
- 文字を書き写せない
- 考えを文字に書いて表現できない
学習障害(LD)のうち、文字をうまく書けない症状を書字障害と呼びます。文字のバランスが崩れてしまったり、黒板の文字を書き写せなかったりするときには、書字障害を疑った方がいいかもしれません。
文章がうまく読めない
- 音読がうまくいかない
- 読み間違えてしまう
- 文章の内容を理解できない
学習障害(LD)のうち読字障害が起きているときには、本や教科書を読んでも内容をうまく理解することができません。文章を読むのが極端に遅く、さらにその内容を読み間違えてしまうのが、読字障害の特徴です。
計算がうまくできない
- 計算が遅い
- 数字の規則性を理解できない
- 計算の文章題を解くことができない
学習障害(LD)の子供は算数にも苦手意識を示します。数の概念や規則性をうまく理解できないため、計算問題を解こうとしてもうまくいきません。読字障害を併発している場合、文章題を解くのはかなり困難です。
発達障害グレーゾーンの子供の特徴【年代別】
発達障害グレーゾーンの子供を適切にサポートするためにも、年代別の特徴について把握しておきたいものです。ここからは、年代ごとの特徴と対応方法について解説していきます。
- 発達障害グレーゾーンの保育園・幼稚園(2〜5歳)の特徴
- 発達障害グレーゾーンの小学生の特徴
- 発達障害グレーゾーンの中学生・高校生の特徴
発達障害グレーゾーンの保育園・幼稚園(2〜5歳)の特徴
発達障害グレーゾーンの子供には以下のような特徴がよく見られます。
- こだわりが強い
- 気持ちの切り替えがうまくできない
- 常に動き回る
- おしゃべりが止まらない
幼少期はこだわりが強く出てしまうのが特徴的です。それを制御したり言葉にしたりすることが難しいため、周囲の大人や子供に負担がかかってしまうことがあります。
発達障害グレーゾーンの小学生の特徴
小学生くらいになると、以下のような特徴が見られることがあります。
- 好きなことに熱中しすぎる
- じっと授業を受けられない
- 言い争いが起きやすい
こだわりの強さから好きなことだけに集中してしまったり、周囲と言い争いになったりするのがこの時期の特徴です。また、授業中におしゃべりをしたり歩きまわったりしてしまうこともあります。
発達障害グレーゾーンの中学生・高校生の特徴
中学生以降では、以下のような特性が出ることがあります。
- 提出物を忘れる
- 予定通りに行動できない
- 時間の管理ができない
- 学校に行きたがらなくなる
中学生や高校生の時期には、提出物や予定を忘れてしまうトラブルに注意が必要です。時間の管理がうまくいかないこともあるので、保護者の声掛けが欠かせません。また、周囲との不和や集団生活への違和感から不登校になってしまう子供もいます。
子供が発達障害チェックリストで該当項目が多い場合の対応
子供が発達障害のチェックリストで当てはまる項目が多い場合、専門の支援機関への相談や医療機関での診断を検討してみましょう。
- まずは子供の発達障害に関する支援機関に相談してみる
- 発達障害の診断が行えるのは医療機関のみ
まずは子供の発達障害に関する支援機関に相談してみる
発達障害の症状が気になるときには、以下のような支援機関を活用しましょう。
- 市区町村保健センター
- 児童相談所
- 子育て支援センター
- 発達障害者支援センター
- 児童発達支援センター
- 精神保健福祉センター
- 相談支援事業所
こういった窓口では、医療に関する情報のほか、サポートの情報なども紹介してもらえます。相談内容をもとに医師の診断を受けたり、療育などの支援を紹介してもらったりすれば、発達障害や発達障害のグレーゾーンへの対応がしやすくなります。
発達障害の診断が行えるのは医療機関のみ
最近では、子供の発達障害を判定できると謳うウェブサイトなども登場しています。しかし、発達障害を診断できるのは医療機関のみとなっています。
子供が発達障害なのか、あるいは発達障害グレーゾーンなのかを判断するためには、医療機関できちんと相談することが大切です。正確な診断が下りれば、子供に合わせた対処もしやすくなります。
子供が発達障害もしくはグレーゾーンと診断された場合に受けられる支援
子供が発達障害またはグレーゾーンと診断されたときには、必要に応じて支援を活用しましょう。療育をはじめとした支援を受ければ、症状の抑制や改善につなげることも十分可能となります。
- 療育(児童発達支援)とは
- 未就学児(〜6歳)が受けられる支援
- 就学児童(6〜18歳)が受けられる支援
療育(児童発達支援)とは
療育とは、障害を持つ子供の発達を促す取り組みのことです。個々の社会的な自立を最終的な目標とし、医療や教育を通して子供をきめ細かくサポートするのが療育の目的です。療育では運動や遊び、学習などさまざまなプログラムを体験できます。
集団の療育なら、周囲の人との関わりを学んでいくことも可能です。療育の幅広いプログラムを体験するうちに心身の状態は回復しやすくなります。療育にはすぐに症状が改善するなど劇的な効果があるわけではありません。
基本的には、療育では長期にわたってゆっくりと子供の能力を育み、成長を促していくことになります。施設ごとに療育プログラムの内容や実施状況は異なるため、まずは問い合わせや見学から始めてみましょう。
未就学児(〜6歳)が受けられる支援
6歳までの子供を対象とした療育は児童発達支援と呼ばれます。幼児期に発達障害グレーゾーンの兆候が見られるとき、早めに発達障害の対策がしたい場合には、児童発達支援を実施している療育サービスを探してみましょう。
未就学児の療育には、個別のものと集団療育の2種類があります。子供の特質に合わせて最適な療育を選べば、効果が高まりやすくなります。
また、保護者が一緒に通園できる親子通園の療育や、保護者向けのプログラムを用意しているペアレントトレーニングといったサポートプログラムを利用できるケースもあります。
こういったタイプの療育を活用すれば、子供の成長のために何が必要なのかを家族で考える良いきっかけになります。
就学児童(6〜18歳)が受けられる支援
子供が小学校に入るときには、就学前診断で就学先を選びましょう。発達障害の程度が大きいときには特別支援学級や特別支援学校を勧められることがあります。一方で、発達障害グレーゾーンの場合には通常級に入ることもあるものです。
いずれの場合も、これまでの症状や心配なことを担任の先生に伝え、必要に応じて相談を続けながら見守っていくと良いでしょう。小学校入学後には、放課後等デイサービスに通って療育を受けるのがおすすめです。
放課後等デイサービスでは、個々の子供の特性に合わせて療育を行っています。療育では、生活能力の向上のために必要な訓練のほか、集団生活への適応訓練、地域との交流など多彩なプログラムを体験できます。
子供が発達障害もしくはグレーゾーンかと思ったら専門機関に相談してみよう
発達障害もしくはグレーゾーンの判定を個人が行うのは難しいものです。生活の中で、子供の特性や性格に気になる点があるときには、チェックリストを活用したり専門機関に相談したりするのが安心です。
医師などの専門家は、子供の症状に応じて適切な判定をしてくれます。また必要に応じて、療育などのサポートについても案内してもらえるので、気軽に話を聞いてみましょう。