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授業料無償化に関する保護者の意識について

授業料無償化に関する保護者の意識について

子育て世代には重大関心事項である学校教育の費用の問題に関して、未就学児、園・学校に通う子どもを持つ親541名を対象に「授業料無償化に関する保護者の意識調査」を実施されました。

先日、政府と東京都がそれぞれ、授業料無償化に関する政策の方針を発表が、それに関して授業料無償化について保護者がどのような意見を持っているか調査となります。一緒にその結果を見ていきたいと思います。

調査結果トピックス詳細

1.東京都の高校授業料無償化「賛成」71.03%

 東京都在住の保護者に、東京都の高校授業料無償化についてどう思うか質問したところ、「賛成」(71.03%)、「どちらかといえば賛成」(22.43%)、合わせて93.46%で、大多数が賛成寄りの考えであることが分かります。

この政策により子育ての金銭的負担が軽減されると感じるかを聞いたところ、「そう思う」(54.53%)、「ややそう思う」(33.27%)合わせて87.30%でした。

この政策により第2子以降を検討する可能性があるか質問したところ、「2人以上子どもがいて再検討はしない」(55.24%)、「1人子どもがいて再検討はしない」(20.95%)で、再検討しないと答えた保護者が76.19%。「政策により第2子以降を産み育てたいという意識に変わった」(3.81%)、「政策により第2子以降を検討する」(2.86%)合わせて6.67%で、この政策により更に子どもを産みたいという意識の変化があった保護者は多くないことが分かります。

2. 東京都以外に在住の保護者に、東京都の高校授業料無償化についてどう思うか

1位「自治体ごとではなく国全体で実施してほしいと思った」(63.83%)、「居住地の自治体でも実施してほしいと思った」(60.76%)が続く結果でした。

また、東京都の高校無償化の政策は、少子化対策や、子どもを生み育てる環境支援として有効だと思うかを聞いたところ、

  • 「都民としては助かる。日本全体で出来たら良いと思う。」
  • 「高校を諦めざるを得ない人が一定数いる中で、必要な政策だと思う。国全体でやるべき。」
  • 「有効だと思います。全国に広がって欲しいです。」

など好意的で、全国で広がってほしいという意見が多くあがりました。

一方で、「子育て支援としては有効だと思うが、少子化が解消されるとは思わない。」「無償化はありがたいが、だからと言って少子化対策とは思えない。休みやすい、病気の時に有給が別にあるなどの方がよっぽど良い。」など、少子化対策に有効かという点については、厳しい意見もありました。


3.政府の多子世帯の大学無償化 「賛成」22.00%

 政府の子3人以上世帯の大学無償化についてどう思うか質問したところ、「賛成」(22.00%)、「どちらかといえば賛成」(29.21%)、合わせて51.21%で、半数は賛成寄りの考えであることが分かります。

大学授業料無償化により子育ての金銭的負担が軽減されると感じるかを聞いたところ、「そう思う」(26.62%)、「ややそう思う」(27.17%)合わせて53.79%でした。

この政策により第3子以降を検討する可能性があるか質問したところ、「2人子どもがいて再検討はしない」(39.20%)、「1人子どもがいて再検討はしない」(26.52%)、「3人以上子どもがいて再検討はしない」(17.23%)で、再検討しないと答えた保護者が82.95%。「政策を受けて第3子以降を検討する」(3.60%)、「政策により第3子以降を産み育てたいという意識に変わった」(2.65%)合わせて6.25%で、この政策により更に子どもを産みたいという意識の変化があった保護者は僅かであることが分かります。

今回の政府の多子世帯の大学無償化の政策は、少子化対策や、子どもを生み育てる環境支援として有効だと思うかを聞いたところ、「近々大学生になる子を持ち、子どもが3人以上いる家族にとっては金銭的に助かる政策だと思うが、これから子を産み育てていく可能性がある世代にとっては身近に感じられず、十数年後にも続いている政策なのか不明瞭すぎて安易に喜べない。」

「子育てで大変なのは思い通りに働けない0歳〜10歳程度だと思うので、そちらの期間の対策と出産費用を無償化するなどの対策をとらなければ子どもをこれ以上増やそうとは思えない。」

「大学無償化が当たり前になってきたら、将来的な金銭面の心配は多少減ると思うが、大学進学はだいぶ先の問題。そもそも子どもを産む時に仕事の継続や復帰、ステップアップにハードルがあったらそこを改善すべきで、少子化対策には全く有効だと思わない。」などの意見があがりました。

「多子世帯」という限定的な条件があることで、自分ごとと捉えられる対象者が少なく、不公平感を生んでしまっているようです。また「子どもを産む」というところから大学進学までは何年も先の話であるため、この政策により、多くの夫婦に「子どもを産みたい」という意識の変化を起こすのは難しそうな印象です。

一方、「教育費が大きな不安なので、大学が無償化となれば子どもをもうけたいと感じる。」という肯定的な意見もあり、一定の層には有効性がありそうです。



4.何が問題で少子化が進んでいると思うか 

 何が問題で子どもが減っていると思うか質問したところ、「経済的不安がある」(83.18%)が一番多く、「子育てと両立しにくい職場環境」(69.32%)、「子育てしづらい社会環境」(57.49%)、「子育てに精神的負担感がある」(53.60%)が続く結果となりました。経済的不安が一番の理由ではあるものの、いずれの項目も数値が高く、課題が多面的であることが見て取れます。

少子化の課題解決に向けて、政府や自治体によるどのような対策が必要だと思うか聞いたところ、

「育休だけでなく、職場復帰後の時短勤務の充実や、時短勤務でも子どもを養えるような賃金上げがほしい。給料に重きを置くと仕事が増え家庭のことが回らず、家庭を重視すると金銭的余裕がなくなってしまう。」など経済的不安の解消についての意見、

「安心して子育てに専念できるよう、扶養手当の拡充や復職支援、フレックス勤務など子育て世代に合う勤務形態の拡大などの支援や制度がほしい。」など働きやすい環境づくりに対する意見に加えて、「子どもの養育は親だけでなく、社会全体で行うというような考えがなくてはだめかもしれない。」「子育ては幸せだと若い世代が認知することが必要だと思う。」など、社会全体で子育てする意識づくりや、子育ては幸せなことだと感じられるように社会全体の意識を改革していくことが必要なのではないかという意見も見られました。


まとめ

子育て世代の関心が高い学校教育の費用問題に関して、大多数の保護者が東京都の高校授業料無償化政策を支持していることがわかりました。

しかし、政府の大学授業料無償化政策については意見が分かれ、特に多子世帯に限定されるため、不公平感や少子化対策としての効果に疑問が持たれています。保護者の間で経済的不安が少子化の主要な原因と考えられており、育児休暇だけでなく、時短勤務や適切な賃金の保証など、経済面だけでなく社会全体の意識改革が必要だという声が多く聞かれ、これらは今後の課題として検討されるべき事項かと思います。

■調査概要

・調査方法 :はいチーズ!(https://sencorp.co.jp/service)利用者へのWEBアンケート調査

・調査対象者:未就学児、園、学校に通う子どもを持つ保護者541名

・調査実施日:2023年12月15日~2023年12月18日