発達障害のお子さんがスーパーで買い物をするときのポイント6選


株式会社フロンティアコンサルティング 代表取締役
上岡 正明 (かみおか まさあき)
大学院にてMBA(情報工学博士前期課程)取得。専門分野は社会心理、小児心理。多摩大学、成蹊大学、帝塚山大学で客員講師等を歴任。子どもの脳の発育と行動心理に基づく研究セミナーは常に人気を博している。著者に『死ぬほど読めて忘れない高速読書』(アスコム)、『脳科学者が教える コスパ最強! 勉強法』(ぶんか社)、などベストセラー多数。中国や台湾、韓国でも翻訳され累計85万部となっている。 Twitterフォロアー5万人、YouTubeチャンネル登録者23万人を超える教育系ユーチューバーでもある。
> 監修者の詳細はこちらこの記事では発達障害のお子さんがスーパーなどで買い物をする際のポイントなどについて解説していきます。
「早めに一人でも買い物できるようにしてあげたい」「けれど買い物についてどう手助けするべきかわからない」という方は少なくないと思います。
そこで本記事では発達障害のお子さんに買い物に挑戦させるべきタイミング、最初に挑戦するべき買い物の種類、スーパーなどで買い物をするときのポイントなどに関してお伝えしていきます。
お子さんが興味を持ったら買い物にチャレンジしましょう|発達障害ケア
お子さんを買い物にチャレンジさせるタイミングとしては、「お子さん自身が買い物に興味を持ったら」がおすすめです。無理に買い物をすすめてもお子さんのモチベーションが上がらない可能性が高いです。
「自発的に買い物をしたがるか不安」という方もいると思いますが、日常生活で買い物に関する情報に触れる機会は多くあるでしょうから、さほど心配する必要はありません。親が「買い物をしたよ」と伝えたり、買い物が出てくる絵本を見せたりするのもいいでしょう。
そしてお子さんが「買い物をしてみたい!」と言ってきたら、できるだけ早めに挑戦させましょう。期間を空けると、熱意を失ってしまう可能性が高いからです。
まずは自動販売機での買い物がおすすめ。慣れたらスーパーに挑戦
最初は自動販売機での買い物をおすすめします(親同伴で挑戦しましょう)。シンプルですし対人ではありませんからハードルが低いです。それでいて「必要なお金を出して、商品と交換する」という買い物の基本はきちんと経験できます。
そして自動販売機での買い物に慣れてきたらスーパーなどでの買い物にチャレンジするといいでしょう。
発達障害のお子さんがスーパーなどで買い物をする際の6つのポイント
それでは発達障害のお子さんがスーパーなどで買い物をするときのポイントをいくつか挙げていきます。自動販売機での買い物に慣れたら挑戦させることをおすすめします。
1:親も付き添う
お子さんがスーパーなどでの買い物に慣れるまでは親も付き添いましょう。そうでないと最悪の場合「意図しない万引き」などのトラブルが起きるかもしれませんし、そこまでいかなくても大失敗をして、買い物そのものが嫌になってしまう恐れもあります。
また、お子さんの買い物の様子を見ておけば「こういう行動は得意(苦手)」と、新たな一面がわかり、買い物以外の場面でもお子さんをサポートするために役立つかもしれません。
2:できるだけ近いお店・空いている時間帯を選ぶ
まず、できるだけ近くにあるお店を選びましょう。発達障害のお子さんにとっては移動の労力が少ないに越したことはありません。また、「何かあればすぐ家に帰れる」という安心感が、お子さんの行動やメンタルを安定させてくれるかもしれません。
そしてタイミングによって空いている・混んでいるがあるでしょうから、あまり他のお客さんがいない時間帯に行くのがおすすめです(お子さんが人混みを苦手としている場合は特に)。
3:できるだけ同じ曜日・同じ時間帯に買い物をする
発達障害のお子さんは環境の変化によって不安を感じやすい傾向にありますから、できるだけ同じ曜日・同じ時間に買い物することをおすすめします。それが難しくても最低限、「この日は午前中」「この日は日没以降」などのレベルでバラバラになることは避けましょう。
それでも店内の様子は大きく変わりますが、バラバラのタイミングで買い物するよりは負担が少ないです。
また、同じタイミングで買い物をすることにより、店員さんにもある程度覚えてもらえる可能性が高いです。
4:ベテランの店員さんのレジを選ぶ
特にベテランの店員さんであれば、お子さんの様子を見て「何か難しさがある子かもしれないから配慮しよう」と考えてくれるかもしれません。
逆に新人の店員さんのレジを選ぶと、店員さんも戸惑う可能性がありますからできるだけ避けることをおすすめします。
5:セルフレジはできるだけ避ける
セルフレジを使うと対人でお金を払うトレーニングができません。また、スムーズに会計が済めばいいですが、何らかのトラブルが起きると「店員さんがいるレジ」と比べてかえって解決するまでに時間がかかる可能性が高いです。
お子さんにとってセルフレジはどことなくワクワクするものかもしれませんが、親ができるだけ人力のレジに誘導することをおすすめします。
6:親子一緒に焦らず周囲にお礼を言いながらじっくり買い物をする
特に発達障害である場合は、スーパーなどで買い物をするにあたって「人に迷惑をかけないようにできるだけスムーズに」と考えるかもしれません。しかしそれではお子さんが買い物を学びにくくなりますし、何より楽しくないため、買い物への興味を失う恐れがあります。
そのため考え方を180度変えて「親子一緒に焦らず」「周囲にお礼を言いながらじっくり買い物をする」というスタンスでスーパーなどに足を運ぶことをおすすめします。そうすれば徐々に理解者が増えていきますし、親子ともに精神的に楽になるはずです。
もちろんこれは買い物以外でも重要な考え方です。「迷惑をかけないように」ではなく「迷惑をかけるからこそ感謝すること」を意識しましょう。これはお子さんが発達障害であってもなくても、子どもでも大人でも同じことです。
まとめ
発達障害のお子さんがスーパーなどで買い物をするためには、できるだけ「空いている時間帯・同じ時間帯」に足を運び、環境の違いをできるだけ少なくすることが大事です。レジの店員さんについても、可能であれば毎回同じ人を選びましょう。
また、買い物に限らず生活全般に言えますが、「迷惑をかけないように手早く済ませる」のではなく「迷惑がかかるのは仕方がないと考えて周囲に感謝する」というスタンスで臨むことをおすすめします。これは発達障害だからではなく、「他人と生きているから」です。