発達障害の告知におすすめ「告知絵本」の3つのポイント
この記事では、発達障害の告知におすすめの「告知絵本」を活用するためのポイントなどについてお伝えしていきます。
「子どもに告知のことをいつ伝えるべきか迷っている」「どう伝えるべきかわからない」という方は少なくないと思います。
そこで本記事では、発達障害のお子さんへの告知に向いているタイミング、告知の方法としておすすめの告知絵本、さらに告知に関する注意点などに関して解説していきますので、ぜひ参考にしてください。
発達障害の「告知」とは?
発達障害の告知とは、本人に主に以下のことを伝えることを指します。
- 発達障害であること
- 発達障害により生じる不自由
- 発達障害により生じる本人の特徴
- その他、本人が知っておくべき関連情報
お子さんの成長度合いや性格、親の判断によって「告知の時期」「告知の仕方」「告知する内容」などは違って構いません(違うものであるべきです)。また、成長するにつれて「以前は伝えていなかった内容の告知」を追加ですることもあります。
発達障害のお子さんに「告知」をするおすすめのタイミング3つ
それでは発達障害のお子さんに対して「告知」をするおすすめのタイミングを3つ紹介していきます。いずれかに当てはまったら、まずは「告知するべきか」の検討をして、告知の時期を決めましょう。
1:本人が友達などとの違いを意識し始めた頃
「自分は友達と何か違うのかもしれない」と感じられるということは、物事をある程度客観的に見られるようになった証でもあります。そのため、これ以降は発達障害について告知しても、それほど問題なく受け入れられる可能性が高いです。
また、「友達と違う理由」をそろそろ明かしてあげないと、「どうしてみんなと同じようにできないのか」と深く悩み、「普通に振る舞わなくては」と強いプレッシャーを感じるようになる恐れもあります。
2:「努力だけではついていけないレベルになっている要素」が多くなった頃
たとえ本人がそれほど悩んでいないとしても、「努力だけでは周りについていけない要素」が増えてきたら告知を検討することをおすすめします。やはり「周りと違う理由」をそろそろ教えてあげて、自分の状況をある程度客観的に理解させた方がいい場合が多いです。
そうすれば、「物事の目標をスモールステップで設定する」→「一つずつ乗り越える」→「成功体験を積み重ねて自信をつけていく」というように成長していく可能性が高いです。
3:自分自身への関心と、物事へのモチベーションが強くなってきた頃
お子さんに「自分自身のことをもっと知りたい」「色々なことができるようになりたい」というモチベーションができてきたら、発達障害に関して告知をするのもいいでしょう。
ここまでやる気のあるお子さんですから、「何が苦手か・何が向いていないのか」「何が得意か・何が向いているのか」を冷静に理解して、自分に向いていることに取り組んだり、長所に目を向けたりしようとする場合が多いです。
特に軽度の発達障害であるケースでは、本人が発達障害であることを知らなくても、かなり成長するまで特に困らないかもしれません。ただ、「もう一段階成長すること」を狙いにして告知してみるのもいいでしょう。
発達障害の告知でおすすめの「告知絵本」の作り方・使い方のポイント3つ
続いては発達障害のお子さんへの告知方法としておすすめの「告知絵本」の作り方や、説明の際の絵本の使い方のポイントなどを紹介していきます。特に発達障害のお子さんは、字だけの説明だけでは理解しにくい傾向にありますから、絵本によって視覚的に説明するのがおすすめです。
1:お子さんの成長度合いによって情報量をコントロールする
情報を詰め込みすぎるとお子さんが理解できなくなる可能性がありますから、成長度合いによって情報量をコントロールしましょう。そして成長するにつれて、必要に応じて新たなことを教えてあげることをおすすめします。
原則として「発達障害の基本情報」「お子さん本人の性質」を最優先で教えて、そこから徐々に広げていきましょう。
2:発達障害の偉人のエピソードを入れる
写真などを入れつつ発達障害の偉人のエピソードを載せておくと、お子さんは「発達障害でも大丈夫」とイメージしやすくなります。
わかりやすいところで言えばエジソンなどがおすすめです。また、お子さんが強い興味を抱いているジャンルにおける発達障害の成功者やスター、偉人がいればその人を紹介するのもいいでしょう。
親も発達障害である場合は「大変なこともあったけど今はうまくやっている」と伝える
また、親も発達障害である場合は、例えば「お母さんも発達障害だけど今はこうしてうまくやっているよ」「だから大丈夫」と伝えてあげましょう。親がうまくやっている、というのはお子さんにとって何よりの励みになります。
親の「失敗したけれど乗り越えたエピソード」などを、いくつか面白おかしく書いてあげるといいでしょう。
3:「他の人の不自由と一緒」と伝える
発達障害と聞くと特別に思えるかもしれません(初めて聞くお子さんにとっては特に)。ですが、本質的には「他の人の不自由と同じである」と伝えると、お子さんが「自分は変」「他の人よりもすごく頑張らないといけない」などと思い詰めにくくなります。例えば以下の通りです。
- 視力が低い不自由→眼鏡やコンタクトレンズで対応する
- まだ身長が低い不自由→脚立を使って対応する
- 忘れ物が多い不自由(困り事)→メモを取って対応する
- 納豆が嫌いな不自由→納豆を避けた食生活をする(給食なら先生に報告して残す)
発達障害から生じる不自由もこれらと同じく、「しかるべき方法で対応する」のが基本です。対応するのは難しいかもしれませんが、だからといって悲観させたり過剰にプレッシャーを感じさせたりするべきではありません。
発達障害のお子さんに対して告知する際の注意点4つ
続いては発達障害のお子さんに向けて告知をするときの注意点をいくつか挙げていきます。告知はやはりデリケートな行為ですから十分気を付けてください。
1:全くトラブルを起こさない告知はできないと考える
「あなたは発達障害です」とこれまでになかった情報を教えるため、告知によって多かれ少なかれ何らかのトラブルが起きると考えておいた方がいいです。覚悟しておいた方がスムーズに対応できることでしょう。
また、親の方が「完璧な告知をしないと!」と過剰なプレッシャーを感じることを避ける意味合いもあります。
2:お子さんのネットサーフィンに関して注意しておく
特にインターネット検索をすでに身に付けているお子さんの場合、発達障害に関する間違った情報や、心無い書き込みなどを目にしてしまう可能性があります。
そのため「インターネットの情報は信じないように」「何か気になる情報があったらお母さんに相談してね」などと注意しておくことをおすすめします。また、繊細な性格の場合は「ネット検索で傷付く可能性もあるから気を付けてね」と忠告しておくことも大事です。
3:「発達障害です」と伝えていい相手を名指ししておく
他人に「発達障害です」と伝えると、偏見や無理解によってその人に悪い印象を持たれてしまう可能性があります。
そのため「発達障害です、と伝えていい相手」を名指ししておきましょう。お子さん本人がその相手を判断するのは難しいからです(お子さんが小さい場合は特に)。
「もし伝えたいなら、この人には伝えていいよ」「でもそれ以外の人に伝えるのはダメ」という感じです。
4:告知後、必要に応じてサポートや療育の方法・スタンスを変える
告知する前は、基本的に「本人がされていると気付かない自然なサポート・療育」をするのがいいとされています。
もちろん告知後もそのスタンスで構いません。ただ、お子さんが例えば「僕は発達障害だからそれを踏まえて成長していきたい」という状態なのであれば、親もそれに応じましょう。
成長度合いによっては、お子さんと一緒に発達障害関連の書籍を読むなどして、そこから得た情報をヒントにサポートや療育をしていくのもおすすめです。
まとめ
発達障害のお子さんへの告知に関して正解はありませんし、どれほど上手に告知できてもそれなりにトラブルは起きると考えておいた方が対応はスムーズになります。ある程度覚悟を決めましょう。
その上で今回紹介した内容を参考にして慎重に告知を進めていっていただければ幸いです。もちろん迷うことがある場合は専門家にも相談することをおすすめします。