子ども・子育て支援法などの改正法が国会で成立
「支援金制度」の創設を盛り込んだ、子ども・子育て支援法などの改正法が、参議院本会議で賛成多数で可決・成立しました。
改正法では、児童手当の所得制限の撤廃、対象を18歳まで広げます。働いていなくても子どもを保育園などに預けられる「こども誰でも通園制度」の導入や、育児休業給付の拡充なども盛り込まれています。
そして財源を確保するため、公的医療保険に上乗せして国民や企業から集める「支援金制度」を創設し、2026年度から段階的に運用が始まります。
このほか、家族の介護や世話などをしている子どもたち、いわゆる「ヤングケアラー」についても、国や自治体による支援の対象とすることを明記し、対応を強化していくという内容になっています。
それでは、内容を詳しくみていきましょう。
・妊娠期からスタートする支援
・少子化対策の財源
改正法の内容
詳しい内容は以下となっています。
・児童手当
2024年12月の支給分から所得制限を撤廃し、対象を18歳まで広げるとともに、第3子以降は月額3万円に増額。
・ひとり親世帯の児童扶養手当
子どもが3人以上いる世帯で加算部分の支給額が引き上げ。
・妊娠、出産時
10万円相当を給付。
・国民年金保険料
子どもが1歳になるまで免除。
・こども誰でも通園制度
親が働いていなくても、3歳未満の子どもを保育所などに預けられる。
・育児休業給付
両親がともに14日以上育児休業を取得すれば、最長28日間は、育児休業給付を拡充し、実質的な手取り収入が減らないようになる。
・時短勤務
2歳未満の子どもの親が時短勤務をする場合、賃金の10%にあたる額を支給する新たな制度の創設。
妊娠期から出産までの「伴走型相談支援」
妊娠期からスタートするのが「伴走型相談支援」です。孤立や不安をやわらげるため、妊婦やパートナーが市区町村の担当者に、身の回りの様々な相談をできるほか、経済的な支援も受けられます。
妊娠届け出時、出産間近、出生届け出時の3回面談を行いますが、このうち1回目、3回目の面談を受けると、それぞれ5万円相当の出産応援ギフト(クーポン券など)を受け取ることができます。
その後も継続的な相談が可能で、地域の相談機関が子育てイベントを知らせるなど支援が受けられるそう。
出産後は、退院直後の母子に心身のケアや育児のサポートなどをする「産後ケア」や50万円の「出産育児一時金」が受け取れます。さらに児童手当、住宅支援、男女ともに育児休業を一定期間以上取得した場合に手取り10割となる育休給付やこども誰でも通園制度など、ライフステージに応じた仕組みが用意されるそうです。
少子化対策の財源について
政府は少子化対策の強化に年間3兆6000億円が必要としていて、当面は一部を国債で賄いながら、2028年度までに安定的な財源を確保するとしています。
内訳は、すでにある予算の活用で1兆5000億円程度、歳出改革で1兆1000億円程度、企業や国民から集める「支援金制度」の創設によって1兆円程度を捻出するとしています。
・「支援金制度」は2026年度から徴収
このうち「支援金制度」は2026年度から公的医療保険を通じて徴収が始まり、初年度の2026年度は6000億円、2027年度は8000億円、制度が確立する2028年度以降は1兆円を集める計画です。
・一人当たりの負担額は?
政府の試算では、子どもなど扶養されている人を含めた医療保険の加入者全体では、1人当たりの平均月額が2026年度で250円、2027年度で350円、2028年度で450円としています。
保険の種類ごとでは、いずれも2028年度時点で、主に中小企業に勤める人などが加入する「協会けんぽ」が450円、大企業に勤める人などが加入する健康保険組合が500円、そして、公務員などが加入する共済組合で600円としています。
扶養されている人を除いた「被保険者」で試算すると「協会けんぽ」が700円、健康保険組合が850円、共済組合が950円となっています。
労使折半が前提で、事業主も同額を拠出するとしています。
このほか、自営業者などが加入する国民健康保険では、加入者1人当たり400円、1世帯当たりでは600円、75歳以上が加入する後期高齢者医療制度は350円となっています。
子育てにはお金が必要・・・とは、言うまでもありませんね。賃金が上がるのがベストとはいえ、昨今の物価高の上昇は感じているものの、賃金の上昇を感じている方はあまり多くはないのではないでしょうか。
教育費、養育費、出産費用、休業期間の収入減など、子育て世代・妊活世代にとって、壁がいくつも立ちはだかります。そんな中、子ども・子育て支援法が、多くの方の力となってくれることを望みます。
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