発達障害のお子さんに時間を守らせるためのポイント|時間の見える化
株式会社フロンティアコンサルティング 代表取締役
上岡 正明 (かみおか まさあき)
大学院にてMBA(情報工学博士前期課程)取得。専門分野は社会心理、小児心理。多摩大学、成蹊大学、帝塚山大学で客員講師等を歴任。子どもの脳の発育と行動心理に基づく研究セミナーは常に人気を博している。著者に『死ぬほど読めて忘れない高速読書』(アスコム)、『脳科学者が教える コスパ最強! 勉強法』(ぶんか社)、などベストセラー多数。中国や台湾、韓国でも翻訳され累計85万部となっている。 Twitterフォロアー5万人、YouTubeチャンネル登録者23万人を超える教育系ユーチューバーでもある。
> 監修者の詳細はこちら発達障害のお子さんに時間を守らせようと頑張っているものの、「なかなか時間通りに動いてくれない」「時間になってもすぐに切り替えることができない」とお困りではないでしょうか。
そこで本記事では発達障害のお子さんに時間を守らせる方法や、スムーズに気持ちや行動を切り換えさせるためのコツなどについて解説していきます。
発達障害のお子さんに時間を守らせるコツ5選
それでは発達障害のお子さんに時間を守らせるための方法を5つ挙げていきます。
1:時間の「見える化」をする
発達障害のお子さんの中には時間に関する感覚が鈍い人が少なくありません。
例えば、「あと3分だよ」と言われても急ぐ必要があるとわからない、「30分遊んでいいよ」と言われてもどれくらい遊べるのかわからない、などです。
そのため時間の「見える化」をすることをおすすめします。
一例として以下の方法があります。
- 画面が大きいアナログタイマーを使って時間が減っていく様子を見せる(例えば、あと5分だよと言って、5分でアラームが鳴るようにセットする)
- 砂時計を使う
- タイムタイマーを使う
タイムタイマーとは「残り時間が赤く表示され、時間経過とともに赤い範囲が狭くなっていくタイマー」です。
発達障害の方や小さなお子さんなど、時間感覚が弱い人のために開発されたものです。
これらの方法で楽しく「時間」というものに触れていくと、徐々に時間感覚が身に付いていかもしれません。
2:発達障害のお子さんは急に切り替えるのが苦手。時間を見ながらの声かけが大事
発達障害のお子さんの中には、気持ちや行動の切り替えを苦手としている人が少なくありません。
例えば、いきなり「じゃあゲームは終わりにして学校に行こう」と言われても、すぐに対処できない可能性があります。
そのため一例として切り替えなければならない5分前などに「残り5分でタイマーが鳴るよ。ゲームを終わらせられるかな?(タイマーを見せながらセットする)」などと声かけすることが大事です。
ただ、5分だと半端に長すぎて「いつ終わらせればいいのだろう」とイライラしてしまう場合もありますから、3分前、2分前など、お子さんに合わせて声かけのタイミングを調整しましょう。
また、「あと5分しかないよ!」と急かすような雰囲気にならないように気を付けてください。
例えば「あと5分で学校に行くよ~。今日も楽しみだね!」などと明るいムードになるようにしましょう。
発達障害の方に限らず、特にお子さんの場合は「楽しい」ときびきび動けるケースが多いです。
3:あと何分にするかお子さんに判断させる
お子さんの成長段階や、シチュエーション(家を出発する時刻まであまり時間がないなど)によってはほぼすべて親が時間管理をすることになるでしょう。
ただ、ある程度時間感覚が身に付いてきたら、「あと何分で○○をすれば間に合うかな?」「何分遊ぶ?」などと聞いて、お子さんに決めさせてみることをおすすめします。
すると例えば「30分後に家を出るからあと20分で支度をして……」「ゲームは20分くらいやっていいからタイマーを20分に設定しよう」などと考えられるようになっていきます。
もちろんたまに「あと○分」の判断を間違ってしまう場合もありますが、そのときは「惜しい!正解は○分でした!」などと優しく、明るく指摘してあげましょう。
4:時間を守ったら・守らなかったらどうなるのかイメージさせる
発達障害の方に限らず、幼い子どもの中には目先のことしか考えられない人が多いです。そのため例えば
- 早くみんなに会って遊べるね
- もうみんな待っているから会いに行った方がいいよね
- 早く学校につけばゆっくり準備できるよ
など「時間を守るとどんなメリットがあるのか」を言葉でハッキリ説明することも有効です。
また、
- 時間を守らないとみんなと遊べなくなるよ
- みんなが怒るかもよ
- 学校に着いたらすぐに授業が始まって大変かもよ
などと「時間を守らないと大変なことになる」と想像させるのもいいでしょう。
ただ、もちろんできるだけ明るく、楽しくお子さんをサポートするべきですから、「まずは時間を守るメリットをイメージさせる→それでもうまくいかなければ悪い想像をさせる」という順序にすることをおすすめします。
5:親が時間を守っている様子を見せる
子どもは親の姿を見て成長するものです。そのため親が時間を守ることも大事です。
そのため例えば「お母さん、10分だけ休憩するね」「あと20分経ったら夕ご飯の準備を始めるね」などと、たびたび伝えることをおすすめします。
繰り返していくと、「時間を守ることは大切なんだ」と学んでくれることでしょう。
まとめ
ここまで発達障害のお子さんに時間を守らせたり、スムーズに切り替えさせたりするためのポイントを紹介してきました。
特に発達障害である場合、親が思っている以上に時間感覚が鈍いかもしれないということを理解しておきましょう。
その上で時間の見える化、声かけなどをしていくことが大事です。