発達障害のお子さんの朝の準備のコツ
株式会社フロンティアコンサルティング 代表取締役
上岡 正明 (かみおか まさあき)
大学院にてMBA(情報工学博士前期課程)取得。専門分野は社会心理、小児心理。多摩大学、成蹊大学、帝塚山大学で客員講師等を歴任。子どもの脳の発育と行動心理に基づく研究セミナーは常に人気を博している。著者に『死ぬほど読めて忘れない高速読書』(アスコム)、『脳科学者が教える コスパ最強! 勉強法』(ぶんか社)、などベストセラー多数。中国や台湾、韓国でも翻訳され累計85万部となっている。 Twitterフォロアー5万人、YouTubeチャンネル登録者23万人を超える教育系ユーチューバーでもある。
> 監修者の詳細はこちらこの記事では発達障害のお子さんの朝の準備のコツについて解説します。
「もっとバタバタせずに準備ができないだろうか」「毎朝ストレスになっているため何とかしたい」などと感じている保護者さんも少なくないと思います。
そこで本記事では、発達障害のお子さんの朝の準備をできるだけスムーズに、かつ少ないストレスで行うためのポイントを紹介していきますので、ぜひ参考にしてください。
発達障害のお子さんが朝の準備をするコツ4つ
それでは発達障害のお子さんが朝の準備をスムーズに、かつストレスを溜めずに行うためのポイントを4つ挙げていきます。
1:朝の準備スケジュールを作る
発達障害の方に限らず、「毎朝考えて準備をする」というのはとても大変です。寝起きで頭が回らないかもしれませんし、焦ってバタバタしてストレスを感じれば、さらに思考が鈍くなるという悪循環に陥いることでしょう。
そのため「毎朝これをする」という朝の準備スケジュールを作ることをおすすめします。例えば
- 7時00分:おきる→トイレ
- 7時30分:朝ごはん→歯みがき→きがえ→もちものチェック(もちものを全部リストアップして書いておく)
- 8時00分:おうちを出る
などといったものです。
お子さんがイメージしやすくなるように、楽しいイラストを交えて作るのがポイントです。また、お子さんの成長度合いによっては一緒に作るのもいいでしょう。
なお、例えば着替え一つとっても「着替えを終えた姿のイラスト(全体像)」を見せた方が理解しやすい人もいれば、「着替える手順(一つ一つの手順)」を見せた方が理解しやすい子もいます。お子さんの特徴によって調整していきましょう。
2:親は常に冷静に|たとえ遅刻しそうでも親はバタバタしない
親は常に冷静さを保ち、たとえ遅刻しそうであっても決してバタバタしないようにしましょう。親の焦りが伝わってしまえば、特に発達障害のお子さんの場合はパニック状態になるかもしれません。
もちろん「早くしなさい!」などと怒鳴ることは絶対にしません。急がせたい場合は、「次は何をするんだっけ?」とお子さんに質問するだけで十分です。
それに多少親が慌てたところで、数分、場合によっては数秒の短縮にしかなりません。それどころか、普段よりかえって時間がかかってもおかしくありません。気持ちとしては焦るのも仕方のないことですが、それを表に出さずに平気な顔でニコニコしていましょう。
3:衣類のせいで着替えが遅くなっている可能性も(発達障害の場合は特に)
特に発達障害の方の場合、感覚が過敏であるという理由で着替えが遅くなっている可能性もあります。例えば以下のような工夫をしましょう。
- できる限り肌着は綿100%のものを選ぶ
- 肌着の縫い目が気になる場合は裏返しで着せる
- シャツのタグを切る
- 首回りがスッキリした服を着る(タートルネックなどでは首の苦しさを感じかねません)
もちろんすべて取り入れる必要はありませんが、工夫によってお子さんの抵抗感やイライラを取り除くことができれば、着替えもスムーズになるかもしれません。
4:成長度合いによっては着替えを「遊び」にする方法も有効
例えば、
- 「それぇ!キャッチ!」といって衣服を投げて渡す
- ズボンをトンネルに見立てて「脚はトンネルをくぐれるかな?」と声をかける
- 衣類を擬人化して「今日は僕を着て!いやいや僕だよ!」などと声をかける(どちらを着るかはお子さんに選ばせる)
- 靴下に「半分にしたマーク」それぞれを描いて、左右正しく履ければマークが完成するようにする(左右の履き間違え防止)
お子さんがある程度成長すると恥ずかしくなってやめる可能性が高いものの、成長度合いによっては着替えを「遊び」にすることで、楽しみつつスムーズに着替えができる場合が多いです。
また、発達障害でなくてもお子さんの着替えの手伝いというのは想像以上にストレスになりやすいものです。そのため親が楽しむという意味合いもあります。もちろん着替え以外でも、「楽しめる遊び」に変換できることがあれば実践してみましょう。
発達障害お子さんの朝の準備が済んだら、明るく楽しく学校へと送り出す
朝の準備が終わったら、明るく楽しく学校へと送り出すことが大事です。
たとえ大人であっても怒られながら送り出されると、一日中気になってソワソワしてしまったり、不機嫌なままだったりするものです。これが発達障害のお子さんであれば、なおさら気持ちの切り替えができなくなる可能性が高いです。
そのため例えば「家を出る5分前からは、よほどのことがない限り叱らない」などと決めておくのもいいでしょう。
まとめ
ここまで発達障害のお子さんの朝の準備のコツについて解説しました。特に発達障害の方の場合は朝のスケジュールをしっかり作り、そのたび考えずに済むようにしておくことが大事です。
そして「楽しく、明るく」を基本にして、お子さんが機嫌よく家を出発できるように送り出しましょう。