発達障害のお子さんがいる家庭の夕食で意識するべきこと
株式会社フロンティアコンサルティング 代表取締役
上岡 正明 (かみおか まさあき)
大学院にてMBA(情報工学博士前期課程)取得。専門分野は社会心理、小児心理。多摩大学、成蹊大学、帝塚山大学で客員講師等を歴任。子どもの脳の発育と行動心理に基づく研究セミナーは常に人気を博している。著者に『死ぬほど読めて忘れない高速読書』(アスコム)、『脳科学者が教える コスパ最強! 勉強法』(ぶんか社)、などベストセラー多数。中国や台湾、韓国でも翻訳され累計85万部となっている。 Twitterフォロアー5万人、YouTubeチャンネル登録者23万人を超える教育系ユーチューバーでもある。
> 監修者の詳細はこちらこの記事では、発達障害のお子さんがいる家庭の夕食時のポイントについて解説します。
夕食の準備やサポートをする中で「好き嫌いについてはどう考えるべきだろうか」「そもそもどれくらい夕食に力を入れるべきだろうか(朝食や夕食とのバランスは?)」などと悩んでいる保護者さんは少なくないと思います。
そこで本記事では、発達障害のお子さんがいる家庭の夕食における好き嫌いに関する考え方や、夕食に対して持つべき意識などについてお伝えしていきますので、ぜひ参考にしてください。
発達障害のお子さんがいる家庭が特に夕食に力を入れるべき理由とは?
お子さんがいる多くの家庭で、
- 朝はバタバタ
- 昼は給食のため自由度が低い(もしくはお弁当)
ということになっていると思います。
しかし夕食の時間帯は比較的ゆったりしていることでしょう。また、メニューが決まっている給食や学校のルール下で食べなければならないお弁当とは異なり、夕食は自由度が高く、お子さんにとってプレッシャーもありません。
特に発達障害のお子さんの場合、朝のバタバタ感も、昼食時のプレッシャーや不自由さも大きくなりやすいですから、その分夕食には力を入れるべきでしょう。
よく「朝食を最もしっかり食べて、夕食は軽くするべき」と言いますが、それは単なる理想です。発達障害のお子さんがいる家庭でなくても、実現するのは難しいのではないでしょうか。親がストレスを溜めずに毎日楽しく夕食の準備をして、お子さんと一緒に食べるためにも、無理をせずに
- 朝は簡単に済ませる
- 昼は給食
- 夕食はしっかり
という生活を検討してみてはいかがでしょうか。
発達障害のお子さんがいる家庭の夕食時のポイント3つ
それでは発達障害のお子さんのための夕食時のポイントを紹介していきます。「お子さんのため」とは言いましたが、以下で挙げていくことは親のためでもあります。
1:お子さんの好き嫌いを気にし過ぎない
特に発達障害のお子さんの場合、「嫌いなものはすごく嫌い」という傾向にありますから、お子さんの嫌いなものを無理に食べさせるべきではありません(食事自体を嫌ってしまっては大変です)。
ただ、「苦手なものを避けて、好きなものだけを」と考えていると夕食を準備するのが大変になってしまいますからおすすめしません。また、お子さんが「夕食なら、絶対に苦手なものは出ない」と思ってしまうのも考え物です。
ですが例えば、「おかずを大皿に盛って、小皿で取り分けられるようにして、苦手なものを避けやすくする」などの配慮をするのはおすすめです(ただ、お子さんがあまりにも神経質にすべて避けようとするのであれば、注意した方がいいかもしれません。これは家庭ごとの方針によります)。
「避けるとしても、近くに苦手な食材がある」という環境を作ることで、徐々に見た目やニオイに慣れて食べられるようになっていく可能性もあるためです。また、特に発達障害で感覚が過敏な人である場合、「近くで食べている人がいるのも気になる」というケースもありますが、それも改善していくかもしれません。
2:「障害」と言えるレベルで嫌いな食べ物は食べさせない
「飲み込むと吐きそうになる」「食べている人の近くにいることさえ苦痛」など、障害と言えるレベルで嫌いな食べ物については食べさせないようにしましょう。これは発達障害であってもなくても同じです。
ただし「食べさせない」だけであって、「食卓に出さない」とまで考える必要はありません。お子さんが苦痛としている食べ物を食べるときは、お子さんをその場から離れさせればいいのです。
この際、親が離れるのではなく、子どもをその場から離れさせることをおすすめします。そうでないと関係性のバランスがおかしくなるためです。お子さんには「自分のせいで親が食べにくくなっているのだから、自分が離れるのが当然」と思わせるべきと言えます。
3:夕食を発達障害のお子さんにとっての学びの機会と考える
夕食に関して実践できそうな配慮を挙げていけばキリがありません。各家庭によってするべき配慮も違うでしょうし、お子さんが成長するにつれてできる配慮も増えていくことでしょう。
もちろん一番に考えるべきなのはお子さんと一緒に夕食を楽しむことですが、「学ぶ機会」とも捉えて、お子さんに「行動」や「考えること」を自然に促していくことをおすすめします。
また、「お子さんのために」とだけ考えず、「自分(親)も子どもも気分よくご飯が食べられるように」という意識で取り組みましょう。これはもちろん夕食以外のシーンにも当てはまることです。
まとめ
ここまで発達障害のお子さんがいる家庭における、夕食時のポイントについて解説しました。朝食や昼食に比べると自由度が高く、ストレスも感じにくいですから、特に発達障害のお子さんがいる家庭では夕食に力を入れることをおすすめします。
苦手な食べ物についてはそこまで配慮する必要はありませんが、障害と言えるレベルで嫌いな食べ物に関しては気を付けてあげましょう。