発達障害のお子さんが食べられない給食メニューへの対応策
株式会社フロンティアコンサルティング 代表取締役
上岡 正明 (かみおか まさあき)
大学院にてMBA(情報工学博士前期課程)取得。専門分野は社会心理、小児心理。多摩大学、成蹊大学、帝塚山大学で客員講師等を歴任。子どもの脳の発育と行動心理に基づく研究セミナーは常に人気を博している。著者に『死ぬほど読めて忘れない高速読書』(アスコム)、『脳科学者が教える コスパ最強! 勉強法』(ぶんか社)、などベストセラー多数。中国や台湾、韓国でも翻訳され累計85万部となっている。 Twitterフォロアー5万人、YouTubeチャンネル登録者23万人を超える教育系ユーチューバーでもある。
> 監修者の詳細はこちらこの記事では発達障害のお子さんの給食に関する注意点について解説します。
発達障害の方の中には味覚が敏感な人も多く、「嫌いな味」によってパニック状態になることさえあります。実際、給食のことで悩んでいる親もたくさんいるのではないでしょうか。
そこで本記事では、発達障害のお子さんの給食について学校側とどのように相談するべきか、親としてどう対応するべきかなどについてお伝えしていきます。
味覚の敏感さによって、給食で困っている発達障害のお子さんがいる
発達障害のお子さんの中には、「味覚の敏感さ」によって学校給食で困っている人もいます。例えば「家の水道の水」と「学校の水道の水」を明確に判別できる、酸味のある食べ物を一口食べるだけでパニック状態になる、などのレベルで過敏です。
さらに「触覚の敏感さ」によって例えば、特定の食感の食べ物を噛むだけで鳥肌が立つ、などの状態になってしまうお子さんもいます。また、「味覚の過敏さ」「触覚の過敏さ」などは、アレルギーとは違って診断書が出ないかもしれませんし、血液検査などにも表れません。
そのため周囲から理解を得にくいケースが少なくありませんし、「苦しみの度合い」も想像しにくいです(単なる好き嫌いと同列に捉えてしまうなど)。
そのせいでお子さんが苦労したりストレスを感じたりすることも少なくありませんから、まずは保護者の方が「絶対的な理解者」になってあげましょう。
発達障害のお子さんの「感覚の過敏さ」に学校給食はどう対応しているのか
まずアレルギーについては、ほぼすべての学校で対応してくれます(対応してくれない方が異常です)。
ただ、「感覚の過敏さ」については対応してくれない学校も少なくありません。その場合の学校側の姿勢としては、
- (診断書がないため)理解してくれない
- 理解はしてくれるものの、他の子もいるため特別扱いはできない
などがあります。
学校に対して客観的かつ丁寧に説明することが大切
もちろん、ここで感情的に訴えても理解は得られません。特に発達障害のお子さんの場合、学校との信頼関係が重要であるため、学校側に「面倒な親(家庭)」と思われてしまっては大変です。
そのため学校に対して客観的かつ丁寧に説明することが大事といえます。ポイントは以下の2つです。
- 「味覚の過敏さ」「触感の過敏さ」について説明する
→利き水ができるほどに過敏です、酸味のあるものを食べるとパニックになることがあります、など(単に知らないだけかもしれません)
- 給食に苦痛を感じた場合に起き得ることについて説明する
→学校に行き渋るようになるかもしれません、パニック状態になって騒ぎを起こすかもしれません、教室を飛び出すかもしれません ※実例があれば伝える
特に2つ目のポイントについて具体的に伝えることで、学校側も「嫌いなものを無理に食べさせることのデメリット・リスクが非常に大きい」と理解し、特別に対応してくれるかもしれません。
ただし、「こんなトラブルが起きるかもしれませんよ!」と脅しのようにならないようにしましょう。冷静に事実のみを伝えることが大切です。
毎年説明する|学校や先生への感謝を忘れない
毎年同じ説明をすることが大事です。担任が変わった場合はもちろんですが、変わらないとしても1年に1回くらいは説明しておくべきでしょう(万全を期すなら保護者面談などのたびに説明します)。
また、仮に学校や担任の先生が「給食対応」のことを忘れていても(お子さんからの報告で明らかになる可能性が高いです)、怒らずにもう一度説明をします。教師も人間でありミスはあるため、責めるべきではありません。
そして常に学校や先生への感謝を忘れないようにしましょう。これは「発達障害だから」ではありません。「特殊な対応をしてもらっているから」です。
給食で苦手なメニューが出る日は発達障害のお子さんをフォローする
そして給食で苦手なメニューが出る日は、親が発達障害のお子さんをフォローすることが大事です。例えば以下の通りです。
- 「今日は他のことは頑張らなくていいからね」などと声をかける(給食のことで頭がいっぱいになっている可能性が高いため、他のことにまでエネルギーを注がないようにする)
- 一口でも食べたらしっかりと褒める
- 食べられなくても給食中に騒がなかったなら褒める
- 朝のうちに「おやつリクエスト」を聞いておき、帰ってきたら食べさせる
学校側の理解を得られない場合もありますが、だからこそ親が理解者になってあげましょう。すると「お母さんはわかってくれるから頑張ろう」という気持ちが生まれます。
まとめ
ここまで発達障害のお子さんの給食に関する注意点や、親がするべきことなどについて解説しました。基本的には「学校に説明して対応してもらう」というのがセオリーとなります。
ただ、それでも学校側の理解を得られない(もしくは理解されても対応はしてもらえない)可能性はあります。そういった場合は特に、親がお子さんをフォローすることが大事です。