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発達障害のお子さんへのトイレトレーニング

発達障害のお子さんへのトイレトレーニング
この記事の監修
上岡 正明

株式会社フロンティアコンサルティング 代表取締役

上岡 正明 (かみおか まさあき)

大学院にてMBA(情報工学博士前期課程)取得。専門分野は社会心理、小児心理。多摩大学、成蹊大学、帝塚山大学で客員講師等を歴任。子どもの脳の発育と行動心理に基づく研究セミナーは常に人気を博している。著者に『死ぬほど読めて忘れない高速読書』(アスコム)、『脳科学者が教える コスパ最強! 勉強法』(ぶんか社)、などベストセラー多数。中国や台湾、韓国でも翻訳され累計85万部となっている。 Twitterフォロアー5万人、YouTubeチャンネル登録者23万人を超える教育系ユーチューバーでもある。

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この記事では発達障害のお子さんにトイレトレーニングについて解説していきます。

「なかなか自分だけでトイレができるようにならない」「やり方を覚えていくことが遅い」「どうサポートしていいかわからない」などと悩んでいる親は多いと思います。

そこで本記事では、発達障害のお子さんにトイレを覚えてもらうためのポイントや、親としてするべきことなどについてお伝えしていきますので、ぜひ参考にしてください。

発達障害のお子さんへのトイレトレーニングのポイント7つ

それでは発達障害のお子さんのトイレトレーニングのポイントを7個紹介していきます。

1:トイレのことで失敗しても叱らない

トイレのことに限りませんが、失敗しても叱るべきではありません失敗を隠すようになるかもしれませんし、トイレのたびにプレッシャーを感じるようになる恐れもあります。特に発達障害のお子さんの場合はパニック状態に近くなってもおかしくありません。

そのため失敗に対しては以下のように対応しましょう。

  • 失敗してもトイレに行けたのであれば「自分で行けたね」と褒める
  • 「失敗した」と報告してきたら「自分で気付けてえらい」と褒める

また、失敗しても手順が正しいのであれば特に何も言わなくていいかもしれません。単なる失敗であれば、確率的にたまにしてしまうことは考えられるからです(これは大人でもいえることです)。

いずれにしても親は明るく、褒める対応をして、お子さんが楽しくトレーニングができるようにコントロールしていきましょう

2:トイレの手順を紙にイラストでまとめて壁に貼る

トイレは手順も多く、親が「流した?」「拭いた?」など逐一確認を取るのも大変です。そのためトイレの仕方・手順を紙にイラストでまとめて壁に貼ることをおすすめします。

特に発達障害のお子さんの中には言葉による説明を苦手にしている人が少なくありませんが、イラストで視覚的に説明されればスムーズに理解できる場合があります。

イラストを描くことが難しいのであれば、「トイレ イラスト 発達障害」などで検索するとヒットする「絵カード」などを使ってみるのもいいでしょう。

3:発達障害の方はトイレという環境が苦手である可能性も。環境を整えましょう

発達障害の方の中には、感覚が過敏でトイレという環境が苦手になりやすい人もいます。例えば以下の通りです。

  • 流す音が苦手(聴覚過敏)
  • 便座の質感が苦手(触覚過敏)
  • 特有のニオイが苦手(嗅覚過敏)

などです。

お子さんの方から「○○が嫌だ」と言ってくる場合もありますが、そうでないケースもあります。特にパニック気味にトイレから飛び出してくるようなことがあった際には、「何か苦手なものがあるの?」と聞いてみましょう。

そしてお子さんの苦手なことがわかったら、便座カバーを変える、防臭剤を使う、トイレの止水栓を少し締める(これで流す音が小さくなる場合があります)などの対応をします

4:発達障害の場合「おむつ」から「パンツ」への変化に慣れない場合も。対策は?

「おむつ」から「パンツ」に切り替わることで、好きなタイミング・場所・体勢でトイレをすることができなくなります具体的には、

  • 排泄してしまう前のタイミングに
  • トイレで
  • 便器に正しく排泄できる体勢で

排泄をしなければならなくなります。

単に「慣れない」というだけでなく、特に発達障害のお子さんの場合は「こだわり」も強い傾向にありますから、

  • パンツを嫌がる(部屋の中でもいつの間にか脱いでしまう)
  • 特定の姿勢でしか排泄したがらない
  • 家のトイレでしかできない

などの状態になる可能性があります。

ただ、パンツを嫌がることについては、

  • 毎日何枚かパンツを見せて好きなパンツを選ばせる
  • 好きなキャラクターのパンツを履かせる
  • パンツ関連の絵本を読ませる(イメージ作り、パンツに対するポジティブな意識を持たせる)

などによって解決していくことができる可能性が高いです。「姿勢」と「場所」については少しずつ段階的に「できる」を積み重ねていきましょう(次の項目でもう少し解説します)。

5:尿意・便意がないときにトレーニングをする

トイレのトレーニングとしては、

  • 正しい姿勢で座る練習(最終的には一般的な座り方を身に付けたいところです。そうでないと身体への負担になるかもしれません)
  • 正しい位置に座る練習
  • トイレットペーパーで拭く練習
  • 流す練習
  • 家以外のトイレを使う練習

などがありますが、これらの練習は尿意・便意がないときに行うことをおすすめします(お出かけ中などに家以外のトイレがあれば、尿意・便意がなくても入ってみるなども)。

なぜなら、いざ尿意・便意があるときに行うと、焦ってしまって普段通りにできなかったり、尿意・便意に意識が向いて、「こうすればいいんだ」という実感が薄れたりするかもしれないためです。

また、特に発達障害の方の中には感覚が鈍く、尿意・便意に気付きにくい人もいます。ですがトレーニングをしている最中に催して、そのまま排泄できるかもしれませんそうすると「尿意・便意とはこういうものなんだ」「トイレはこういう風にすればいいんだ」と学習できます(必要に応じて親が声がけをしましょう)。

6:トイレトレーニング動画を見せてポジティブなイメージを持たせる

特に小さなお子さんの場合、「排泄はトイレでする」ということ自体を理解していない可能性もあります。理解しないままでトレーニングをしても、「なぜ意味のわからない練習をしないといけないのか」「なぜ無理矢理トレーニングをさせるのか」と、トイレに対してマイナスイメージを持ってしまうかもしれません。

そこでおすすめなのがトイレトレーニングの動画を見せるという方法です。YouTubeなどにあるもので構いませんから、親が吟味してお子さんに見せるといいでしょう。「普遍的な内容かつ、アニメーションのもの」をおすすめします。

一般の方が自分のお子さんのトレーニングの様子をアップロードしている場合もありますが、やり方が特殊である可能性もあるため参考にしにくいケースがあります。また、「人物」よりも可愛いアニメーションの方が親近感を持ちやすいです。

親が言葉でトイレの必要性・重要性を伝える方法もありますが、発達障害の方の中には「口頭の説明」では理解しにくい人もいますから、動画で視覚的に説明するのがスムーズです。

7:道具による失敗対策もする

  • 便器の中に「的シール」を貼る(居酒屋のトイレなどでも取り入れられている手法です)
  • 便座のフタの裏に「キレイに使ってくれてありがとう」などと書いたシールを貼る
  • 「お掃除シート」などを用意して自分で対処できるようにする

など道具を活用した失敗対策をすることも大事です。

特にお掃除シートなどを用意しておき、お子さんが使うことで「失敗してもカバーすればいい」と学べば、「失敗への恐怖、プレッシャー」などがなくなっていくことでしょう

また、道具を使うことで親が楽をするという意味合いもあります。お子さんが発達障害であるかどうかに限らず、トイレ掃除などの手間をできるだけ減らすためにも、できる工夫を取り入れていきましょう

「園内でも一人だけでトイレができること」を入園条件にしている保育園・幼稚園は多い

「自力でトイレができること」を入園条件にしている保育園・幼稚園は少なくありません。そのためお子さんを保育園・幼稚園に入れる予定である場合は、「園のルールに合わせてトレーニングが終わるようにする」か、「トイレ関連のルールが緩い保育園・幼稚園を選ぶ」ことになるでしょう。

発達障害であるかどうかにかかわらず、お子さんのトイレトレーニングが終わる年齢は人それぞれ違います。そして園を選べばトレーニングを終えていなくても入園できます。そのためあまり焦らず、スモールステップを積み重ねていくつもりでトレーニングをしていきましょう

まとめ

ここまで発達障害のお子さんのトイレサポートについて解説しました。まずはトイレの手順のイラストを早めに完成させてトイレの壁に貼ることをおすすめします。その上で、音、感触、ニオイなどの環境を整えて、落ち着いてトイレができる環境にしましょう。

あとはお掃除シートの準備をするなどして、「失敗してもカバーしやすい状態」にすることも大事です。発達障害の方の場合、トイレトレーニングがやや難航するケースもありますが、焦らず楽しく、叱らずに取り組んでいきましょう。

この記事を書いた人
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運営事務局 / ライター

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