子どもの癇癪(かんしゃく)を治すには?自制心の持たせ方
株式会社フロンティアコンサルティング 代表取締役
上岡 正明 (かみおか まさあき)
大学院にてMBA(情報工学博士前期課程)取得。専門分野は社会心理、小児心理。多摩大学、成蹊大学、帝塚山大学で客員講師等を歴任。子どもの脳の発育と行動心理に基づく研究セミナーは常に人気を博している。著者に『死ぬほど読めて忘れない高速読書』(アスコム)、『脳科学者が教える コスパ最強! 勉強法』(ぶんか社)、などベストセラー多数。中国や台湾、韓国でも翻訳され累計85万部となっている。 Twitterフォロアー5万人、YouTubeチャンネル登録者23万人を超える教育系ユーチューバーでもある。
> 監修者の詳細はこちら子どもが癇癪(かんしゃく)を起こして手がつけられなくなってしまった経験を持つお母さん・お父さんも少なくないはずです。
駄々をこねて、怒りに任せて泣き喚いたり、物に当たったり、地団駄を踏んだり、本当に困ってしまいますよね。
実は、子どもが感情や身体をコントロールできなくなってしまうのには、脳に原因があるといわれています。
簡単にいってしまうと、子どもの脳は発達しきっておらず、コントロールが大人のようには行かないのです。
今回は、子どもに「自制心」を持ってもらい、癇癪を治す方法をご紹介していきます。
子どもの脳のしくみ
子どもの脳のしくみはよく、「2階建て」の建物に例えられます。
1階の部分は、呼吸や消化、強い感情や本能といった活動を担っています。
この部分は生まれて間もない赤ちゃんでもしっかりと発達していて、大人と謙遜ないはたらきをします。
しかし、2階はそうではありません。
2階は、計画を立てたり、想像力を働かせたり、思考や感情をコントロールする役割がありますが、子どもの脳はまだ未発達で、本来の力を発揮できていません。
つまり、この「2階」の部分を上手く育ててあげることが、「自制心」を育むこととイコールなのです。
子どもに脳のしくみを理解させる
「自制心」を育むためには、この脳のしくみそのものを子どもに理解させることが大切です。
そこでおすすめなのが、手を「脳」に見立てて伝える方法です。
① 親指を内側に入れてグーを作る
親指を内側に入れたグーの手を少し緩めると、親指が見えますね。
これが、1階の部分です。
喜怒哀楽の感情は、ここから溢れ出るようにして出てきます。
2階にあたる4本の指は、そういう強い気持ちを鎮め、落ち着かせているのです。
② グーの手から4本の指を立ててみる
2階の脳が、1階から出てくるさまざまな感情を制御できていない状態です。
癇癪を起こす子の脳は、このような感じです。
嫌なことがあってイライラしたり、泣き喚いているようなときは、2階部分が吹き抜けのようになってしまっているわけです。
③ 感情に蓋をするようにもう1度グーを作る
強い気持ちを抑えるように指を被せれば、理性を取り戻すことができます。
このように脳のしくみを伝えることによって、「自制心」が育まれ、自分の感情のコントロールができるようになっていきます。
親も「自制心」を持つことが大切
子どもが癇癪を起こしているとき、親も気が気ではなくなってしまいます。
つい怒鳴ったり、泣き叫んだりしてしまうこともありますが、それは、逆効果です。
子どもが癇癪を起こしても、常に冷静でいること、これがとても大切です。
脳には、周りの人の行動をみて、それを脳内でシミュレーションする『ミラー・ニューロン』と呼ばれる神経細胞があります。
子どもが癇癪を起こして親が取り乱すと、子どもはもっと取り乱し、癇癪が連鎖してしまうのです。
なかなか冷静な判断が難しい事態ですが、できる限り冷静でいられるように努めてください。
まとめ|大人になるに連れ、感情は落ち着いていく
始めにご紹介させていただいた通り、子どもの脳というのは未完成で、感情を制御するはたらきが未熟です。
「子どもはみんな感情のコントロールが難しいもの」ということを知っているだけでも、親としては不思議と冷静な気持ちでいることができます。
あれをやってもダメ、これをやってもダメと心が打ち砕かれそうになるときもありますが、ぜひ、子どもの脳のしくみとこれからの脳の発達を願って、冷静な姿勢を貫きましょう!
お子さんの成長とともに感情が安定化していくことを心からお祈りしています。