子どものありのままを受け入れるには?
株式会社フロンティアコンサルティング 代表取締役
上岡 正明 (かみおか まさあき)
大学院にてMBA(情報工学博士前期課程)取得。専門分野は社会心理、小児心理。多摩大学、成蹊大学、帝塚山大学で客員講師等を歴任。子どもの脳の発育と行動心理に基づく研究セミナーは常に人気を博している。著者に『死ぬほど読めて忘れない高速読書』(アスコム)、『脳科学者が教える コスパ最強! 勉強法』(ぶんか社)、などベストセラー多数。中国や台湾、韓国でも翻訳され累計85万部となっている。 Twitterフォロアー5万人、YouTubeチャンネル登録者23万人を超える教育系ユーチューバーでもある。
> 監修者の詳細はこちら人間の欲求は大きく分けて、生理的欲求、安全欲求、親和欲求、承認欲求、自己実現欲求の5つがあるといわれています。
このうち、子どもが自分の能力を最大限発揮する「自己実現欲求」を満たすには、その他さまざまな欲求を満たす必要があります。
例えば、空腹感を感じることや、眠くなることは「生理的欲求」にあたります。
このような自然な欲求が満たされると、今後は「安全欲求」が生まれ、危険な場所を嫌い、安全な場所を求めます。
自分にとっての安全な場所が確保できると、今度は家族やお友達といった周囲の人間との人間関係を深める「親和欲求」、それらの人たちから認められたいという「承認欲求」が生まれ、要求が進化していきます。
そして「自己実現欲求」は、今までお話した4つの欲求が叶ってこそ生まれるもので、それぞれの欲求は内容こそ違えど、繋がっていることが分かります。
つまり、子どもは「承認欲求」が満たされて初めて「自己実現欲求」を持つことができるというわけです。
子どものありのままを受け入れるメリット
子どものありのままを受け入れることは、子ども自身に生まれてきたことの価値を感じてもらうことに繋がります。
承認欲求の満たされた子どもは、自己実現欲求が高まり、さまざまな夢を実現させていきます。
子どもの将来のためにもぜひ、子どもの存在そのものを認めてあげてください。
子どもの存在を認める3つのコツ
「ありのままを受け入れる」といっても具体的にどのようなことをしたら良いのか分からないという方もいると思います。
そこで今回は、子どもという一人間の存在そのものを認める3つのコツをご紹介していきます。
① 自分の意見を押し付けない
子どもにはついついあれやこれやと口を出してしまいたくなるものですが、意見やアドバイスの押し付けはかえって自己肯定感を失わせる原因になるかもしれません。
大人も「ただ話を聞いて欲しいとき」があるように、子どもにもそういうときがあります。
「別にお母さんの意見やアドバイスはいらないのに!」そんな風に思うこともあるので、意見を求められているときとそうでないときを見極め、くれぐれもアドバイスを押し付けないようにしましょう。
子どもには理解を示してくれる大人の存在が必要です。
子どもの話を聞き、思いを受け入れることで、子どもは助けて欲しいときにしっかり「助けて」といえるようになります。
② 無条件の愛情を注ぐ
親の愛情を子どもにてっとり早く伝える方法の1つに「褒めること」がありますが、この褒めるという言動につい「条件」を付けてしまう人も少なくありません。
テストで良い点を取ったから、家のお手伝いをしてくれたから、頑張ったから、人に優しくできたから…、もちろん、それらも「褒める」ことに当たりますが、「条件付き」の「褒める」だけだと、真の意味で子どもを認めている、とはいえません。
「何があっても大好きだよ」、「ママとパパの宝物だからね」、そういった「無条件」の愛情を注ぐことを意識しましょう。
③ 子どもの気持ちを受け止める
今回のお話は、子どもの欲求を何でもかんでも受け入れることではありません。
子どもが駄々をこねたり、自分の主張を認めないときは、要求を受け入れず、「気持ちだけ」受け入れることが大切です。
要求だけでなく、思いまで否定してしまうと、「認めてもらえない」と思わせる要因になります。
もし、子どもが強く主張するようなとき、またその主張を飲めないときには、気持ちを受け止め、理由をしっかりと聞きます。
その上で、要求を飲めない理由を説明することが大切です。
まとめ|子どもを自己実現を促すコミュニケーション
子どもの能力を最大限伸ばし、発揮させるには、親子のコミュニケーションが欠かせません。
今回ご紹介した3つのコツを意識して、まずは、子どもの存在をありのまま受け入れ、子どもが自分の存在価値を見出せるようなサポートを行いましょう。
また、コミュニケーションという意味では、ギュッとハグをして安心させてあげることも効果的だといわれています。
ぜひ、実践してみてください。