発達障害のお子さんが「犯罪に遭う・加害者になるリスク」を下げる
株式会社フロンティアコンサルティング 代表取締役
上岡 正明 (かみおか まさあき)
大学院にてMBA(情報工学博士前期課程)取得。専門分野は社会心理、小児心理。多摩大学、成蹊大学、帝塚山大学で客員講師等を歴任。子どもの脳の発育と行動心理に基づく研究セミナーは常に人気を博している。著者に『死ぬほど読めて忘れない高速読書』(アスコム)、『脳科学者が教える コスパ最強! 勉強法』(ぶんか社)、などベストセラー多数。中国や台湾、韓国でも翻訳され累計85万部となっている。 Twitterフォロアー5万人、YouTubeチャンネル登録者23万人を超える教育系ユーチューバーでもある。
> 監修者の詳細はこちらこの記事では発達障害のお子さんが犯罪に遭うリスクを下げる方法について解説します。
「子どもが狙われないためにはどうすればいいのか」だけでなく、「自分の子どもが誰かを傷付けてしまわないか心配」という方もいると思います。
そこで本記事では、発達障害のお子さんが犯罪者に狙われるリスクと、加害者になってしまうリスクを下げる方法に関してお伝えしていきますので、ぜひ参考にしてください。
発達障害のお子さんが犯罪者に狙われないためのポイント5つ
それでは発達障害のお子さんが犯罪者に狙われるリスクを下げるためにするべきことをいくつか挙げていきます。
1:しっかりとした歩き方を身につける
過剰にゆっくり歩いたり、歩く姿勢が悪かったりすると、警戒心が低いように見えてしまいかねません。犯罪者・不審者に狙われないためにも以下のような歩き方ができるようにお子さんを指導することをおすすめします。
- 背筋を伸ばす
- 少し胸を張る
- やや速いテンポで歩く
お子さんにこの歩き方を身につけさせるためには、やはり親も一緒に歩くことが一番です。お子さんと楽しくウォーキングをするつもりでトレーニングしましょう。
2:警察などのパンフレットを見えやすい場所に貼る
お子さんの通っている学校からたびたび警察などのパンフレットをもらえるはずですから、それを家の見えやすい場所に貼るのもいいでしょう。お子さんと一緒に読み合わせをしながら「こういうときはどうすればいいかな?」などと問いかけて考えさせることも大事です。
また、「こどもあんぜん図鑑」など子どもが安全対策を身につけやすい書籍もありますから、入手してお子さんに読ませるのもいいでしょう。
3:犯罪関連のニュースを発達障害のお子さんと一緒に見て対処方法を教える
発達障害のお子さんは「臨機応変な対応」を苦手としている傾向にありますから、「自分で考えて安全に行動しようね」と言われてもうまく対応できない場合が多いです。
したがって知識を増やしていくことが重要といえます。そのためニュースなどを一緒に見て「こういうときはこうしよう」を親の立場から教えていくのが効果的です。
「ニュース 子ども向け」など検索すれば、子どもでも見やすいニュースサイトなども見つかります。
4:特に小さいうちは極力子どもを一人にしないようにする
やはり一人でいると狙われやすくなりますから、特にお子さんが小さいうちはできる限り一人にしないようにしましょう。これは発達障害であってもなくても言えることです。
親として「早めに一人で出歩けるようにしたい」という気持ちもあるかもしれませんが、お子さんの安全の方が大事です。経験を積ませるために一人でお使いなどをさせるとしても、こっそり後ろからついていってもいいくらいといえます。
5:親が「いいよ」という人でないとついていかないように教える
親が「いいよ」という人でないと絶対についていってはいけない、ということを教えましょう。つまりほとんどの人にはついていかせないということになりますが、それで構わないはずです。
先述の通り、発達障害のお子さんは臨機応変な対応を苦手としている傾向にあるため、例えば「お子さんが一人でいるタイミングで会った、お子さん自身が昔会ったことのある親の知り合い」などに会っても逃げるようになるかもしれませんが、それでもお子さんの安全には変えられません。
この場合、「お子さん自身が昔会ったことのある親の知り合い」には、親があとからフォローを入れれば十分です(もしくはお子さんの発達面について最初から説明しておく)。
発達障害のお子さんが加害者にならないためには親の愛情が大事
また、発達障害であってもなくても、どのようなお子さんであっても、周囲の無理解、過度の叱責、失敗体験などが積み重ねることで、著しく自己肯定感・自尊心などが低いまま成長するケースがあります。そうなると反社会的な行動が増えたり、精神を病んだりする可能性があります。
さらに不注意や過労により、過失(うっかり)が増える恐れもあります(特に発達障害の方の場合、日々神経をすり減らして疲れやすくなったり、疲労を自覚しにくかったりすることもあります)。すると被害者側ではなく、加害者側になってしまうこともあります。
それを防ぐために重要なのは、やはり親が言葉でも態度でも愛情を毎日伝えることです。「日々疲れたり傷付いたりすることがあっても親だけは無条件で味方をしてくれる」「何があっても家だけは落ち着ける場所である」という状態にすることにより、お子さんの心が安らぐためです。
まとめ
ここまで発達障害のお子さんが犯罪に巻き込まれないためのポイント、そして加害者側にならないために親が意識するべきことについて解説しました。
今回紹介したようなことに気を付けてお子さんを守りつつ愛情を注ぐことで、子どもが加害者側になることも防ぐことができます。