子どものネガティブな感情をポジティブに変える肯定表現のすすめ
株式会社フロンティアコンサルティング 代表取締役
上岡 正明 (かみおか まさあき)
大学院にてMBA(情報工学博士前期課程)取得。専門分野は社会心理、小児心理。多摩大学、成蹊大学、帝塚山大学で客員講師等を歴任。子どもの脳の発育と行動心理に基づく研究セミナーは常に人気を博している。著者に『死ぬほど読めて忘れない高速読書』(アスコム)、『脳科学者が教える コスパ最強! 勉強法』(ぶんか社)、などベストセラー多数。中国や台湾、韓国でも翻訳され累計85万部となっている。 Twitterフォロアー5万人、YouTubeチャンネル登録者23万人を超える教育系ユーチューバーでもある。
> 監修者の詳細はこちら人間は、恐怖、不安、怒り、非難といった感情を抱くことで自分の身を守っています。
私たちの脳は、ポジティブな感情よりもネガティブな感情を察知することに長けていて、ネガティブな思考ほど忘れにくくできているのです。
ただ、私たちにとってネガティブな感情は、マイナスを生むことも多いです。
多くのストレスを抱え、疲労感が出て、無気力や自信喪失にも繋がります。
これは、大人である私たちにもいえることですが、今回は、子どものネガティブな感情をポジティブに変える「肯定表現」についてお伝えします。
子どもの感情の受け取り方を変えるプログラムとは?
国際ポジティブ心理学会理事のイローナ・ボニウェル氏は、ネガティブな感情を「自分に考え方のクセを吹き込んでくるオウム」に例え、子どもの感情の受け取り方を変えるプログラムを作りました。
オウムの種類は、全部で7匹です。
まずは、それぞれどんなオウムなのか簡単にご紹介します。
- 非難オウム:誰かのせいだという
- 正義オウム:それは正しくないという
- 敗北者オウム:みんなより劣っているという
- 心配オウム:きっと悪いことが起こるという
- あきらめオウム:そんなのできるわけないよという
- 罪悪感オウム:自分が悪いんだと責める
- 無関心オウム:自分には関係ないという
子どもがネガティブな感情になっているときの感情の種類をオウムに当てはめ、どのオウムが肩に乗っているのかを考え、そのオウムを追い払う方法を考えていきます。
7匹のオウムは全員否定的な表現を使います。
これを肯定的な表現に変えていくことが、子どもの感情をポジティブにするコツです。
肯定表現を使う3つのコツ
肯定表現を使えるようになると、ポジティブな感情に変換しやすくなります。
子どもに肯定表現を伝えるのはもちろんのことですが、大人の私たちも活用できる方法ですので、ぜひ、参考にしてみてください。
① 7匹のオウムの声を変換させる
まずは、子どものネガティブな感情に共感をした上で、ポジティブな言葉に変換していきます。
- 非難オウム:誰かのせいだという→でも、自分も悪いところがあるから直していこう
- 正義オウム:それは正しくないという→でも、こういう意見もあることが分かって良かった
- 敗北者オウム:みんなより劣っているという→でも、みんなよりこういうところが良いところだよね
- 心配オウム:きっと悪いことが起こるという→やった方がいい経験になるよ
- あきらめオウム:そんなのできるわけないよという→やってみないと分からないよ
- 罪悪感オウム:自分が悪いんだと責める→でも、こういう風にしたら避けられたんじゃないかな?
- 無関心オウム:自分には関係ないという→自分の意見をしっかり出さないと伝わらないよ
このように最初のオウムの声に「でも」と肯定していくと、少しずつ前向きな感情、行動ができていきます。
② 自分の考え方のクセを知り、乗せたいオウムを考える
ネガティブな感情になったときに「どんな風に思えたら嬉しいか」を考えて、自分の乗せたいオウムを親子で考えていきます。
どんなオウムがいたら心強いかなど、お母さん・お父さんも一緒に考えてみてください。
③ 「Yes,but」をなくし、「Yes,and」を大切にする
子どもの心がポジティブに溢れているときは、「Yes,but」をなくし、「Yes,and」を大切にすることが大切です。
「Yes,but」というのは、結果的な否定のことを指します。
「それは、面白いね。でも、流石に無理じゃない?」こういう投げかけは、子どもの感情をネガティブにしてしまいます。
「Yes,and」では、「それは面白いね。それで、どうするの?」ともっとその話を広げていく問いかけをします。
こうすることによって、ネガティブな感情が生まれにくく、創造力を伸ばしていくことができます。
まとめ|親子で一緒にポジティブに
ネガティブな感情は、ぐるぐると堂々巡りし、本来できるパフォーマンスを発揮できなくしてしまいます。
子どものネガティブな感情を変換するのと同時に、私たちも同じようにネガティブな感情を変換していけば、家族にポジティブな感情が溢れ、笑いの絶えない家庭を作ることができます。
積極的に親子で「肯定表現」を使っていきましょう。