子どもにとって「ぼーっとする」時間はとても大切
株式会社フロンティアコンサルティング 代表取締役
上岡 正明 (かみおか まさあき)
大学院にてMBA(情報工学博士前期課程)取得。専門分野は社会心理、小児心理。多摩大学、成蹊大学、帝塚山大学で客員講師等を歴任。子どもの脳の発育と行動心理に基づく研究セミナーは常に人気を博している。著者に『死ぬほど読めて忘れない高速読書』(アスコム)、『脳科学者が教える コスパ最強! 勉強法』(ぶんか社)、などベストセラー多数。中国や台湾、韓国でも翻訳され累計85万部となっている。 Twitterフォロアー5万人、YouTubeチャンネル登録者23万人を超える教育系ユーチューバーでもある。
> 監修者の詳細はこちら子どもにとって、「ぼーっとする」時間は、非常に大切な時間です。
何故なら、子どもの脳は、意外と疲れているからです。
脳は、体重の2%くらいの大きさしかありませんが、脳を使うのにエネルギーの20%を消費します。
また、この消費エネルギーの60~80%は、デフォルト・モード・ネットワーク(以下、DMN)という脳回路に使用しています。
DMNが使用されるのは、脳が意識的に動いていないとき、つまり「ぼーっとしているとき」です。
子どもがぼーっとしているとつい心配してしまいますが、「ぼーっとしているとき」もその先に起こることに備えて、脳の活動をまとめている状態なのです。
子どもがぼーっとしている時間が長いことが、お母さん・お父さんの悩みになってしまうこともありますが、子どもの脳はそんなときでもしっかり働いているわけです。
脳の疲れを癒やすためにも、この時間は必要不可欠です。
親としてできるのは、子どもが今どんな感情を抱いているのかを知ること、そして、適度にぼーっとできる環境をつくり、脳を癒やしてあげることです。
子どもの気分を知る「ムードメーター」とは?
イェール大学では、感情教育として「ムードメーター」と呼ばれるグラフを考案しています。
縦軸には「エネルギー」、横軸には「楽しさ」を置いて表すそのメーターは、4つの色分けで構成されます。
- 赤:エネルギーは高いものの、楽しいとは感じていないとき
- 黄色:エネルギーも楽しさも高い状態
- 青:エネルギーが低く、楽しいと感じていないとき
- 緑:エネルギーは低いが、楽しいと感じている状態
親としては常に「黄色」であってほしいと思ってしまいますが、「緑」のゾーンの時間を持つことが子どもの創造力を育む上でとても重要です。
子どもにぼーっとする時間を与えるには?
1日にぼんやりとゆったり過ごせる時間を確保してあげることが大切です。
アメリカ屈指の名門小学校では、「毎日20分間の空想できる時間をつくる」という宿題が出たこともあるそうです。
毎日20分間も空想していると、子どもは当然飽きてしまいます。
でも飽きることも、子どもにとって非常に重要なことです。
飽きることで、どのように過ごしたらいいのかを考えるため、創造力が鍛えられます。
結果的にそういう時間が子どもの成長を促すのです。
子どもの脳を疲れにくくする
DMNが過活動になると、子どもの脳は疲弊し、集中力やパフォーマンスが低下します。
逆に、DMNの活動を抑えるような習慣をつければ、子どもの脳は疲れにくく、さまざまな事柄への集中力やパフォーマンスが向上します。
この状態をつくるには、スマートフォン、タブレット、パソコン、テレビといったものから離れることが大切です。
また、先日ご紹介したマインドフルネス瞑想を取り入れることによって、さらに脳は疲れにくくなっていきます。
まとめ|DMNがひらめきを生み出す
近年の脳の研究によって、DMNが「ひらめき」を生み出すのではないかということが分かってきています。
子どもは、日々の生活の中でさまざまなものに触れ、大人以上に刺激を受けています。
身体も脳も大人以上に疲れ果てているのです。
その状態から解放されるためにも、ぼーっとする時間は重要です。
子どもがぼーっとしているとしても怒らず、そのときの気分を知り、ぼーっとさせてあげることも親の務めと言えるでしょう。