発達障害の子を持つ親が早めに/定期的に病院に通うべき理由
株式会社フロンティアコンサルティング 代表取締役
上岡 正明 (かみおか まさあき)
大学院にてMBA(情報工学博士前期課程)取得。専門分野は社会心理、小児心理。多摩大学、成蹊大学、帝塚山大学で客員講師等を歴任。子どもの脳の発育と行動心理に基づく研究セミナーは常に人気を博している。著者に『死ぬほど読めて忘れない高速読書』(アスコム)、『脳科学者が教える コスパ最強! 勉強法』(ぶんか社)、などベストセラー多数。中国や台湾、韓国でも翻訳され累計85万部となっている。 Twitterフォロアー5万人、YouTubeチャンネル登録者23万人を超える教育系ユーチューバーでもある。
> 監修者の詳細はこちらこの記事では発達障害のお子さんを持つ親が、早めに・定期的に病院に通うべき理由などについて解説していきます。
「自分のことは後回しにしがちであまり病院にも行かない」「病院に行かないに越したことはない」という方も多いと思いますが、その考え方のままではいずれご自身の健康を損ねることになるかもしれません。
そこで本記事では発達障害の子を持つ親が、早めに・定期的に病院に行くべき理由や、「発達障害の子の親は抑うつリスクが高い」という話などについてお伝えしていきます。
親が自分のことで早めに・定期的に病院に行くべき4つの理由|発達障害ケア
それでは発達障害のお子さんを持つ親が、早めに・定期的に病院に通うべき主な理由を挙げていきます。お子さんのサポートを日々頑張っていると、つい自分のことを後回しにしたくなるかもしれませんが今一度「自分を大事にすること」を思い出しましょう。
なお健康診断としては労働者が受診する定期健康診断、そして個人が任意で受ける住民健康診断や人間ドックなどがありますから、あなたの受けるべきものを選んでいただければと思います。
1:重症や取り返しのつかない事態になるリスクが下がる
何か不調があったら早めに病院に行ったり、健康診断に通ったりすることで、重症や取り返しのつかない事態になるリスクを下げることができます。
例えばお母さんの場合、疲労の蓄積した状態が続くとホルモンバランスが崩れて、婦人科系の病気になるかもしれません。目安として40代以上になってからはメタボリックシンドロームなども心配です。
お子さんが発達障害であってもなくても、親が何歳でも、健康に生きるための基本は「何か起きる前に防ぐ」です。「何かあってから病院に行けばいい」と考えていると、大変なことになる恐れがありますから気を付けてください。
2:早めに・定期的に病院に行く方が治療費は安くなる
健康診断なども基本的に有料ですから「子どものことにお金を使いたい」「何かあったときにためにお金を節約したい」などコスト面を考慮して、あまり病院に行かない人も少なくないと思います。
ただ、実際には「毎回の健康診断にかかる費用の合計」よりも「具体的な病気の治療費」の方が高くなってしまうケースが大半です。そのため節約意識が強い方ほど、実は早めに・病院に行くべきと言えます。
3:身体に問題がなくてもアドバイスをもらうことができる
健康診断などを受けた結果、身体にこれといった問題がない場合でも健康維持・改善に関するアドバイスをもらうことができます。
一般の方が「健康をキープしよう」と思っても漠然としたものになりやすく、実践するのは意外と難しいものですから、ぜひ参考にしてください。
4:お子さん側の病院や健康に対する意識も上がる
こまめに病院に行く親の背中を見て、お子さんは「このレベルで健康に気を遣うのが当たり前」「こまめに病院に通うのが当然」と思うようになることでしょう。なお歯医者についても同じことが言えます。
また、子どもであっても親に気を遣って「具合が悪い」「○○が痛い」「病院に行きたい」などと訴えることを遠慮する子もいます。しかし親の健康への意識が高く、日常的に病院に行っていれば、その辺りのハードルを下げることもできます。
ただ、発達障害のお子さんは空気を読み取ることを苦手とする傾向にあるため、意図を直接説明することをおすすめします。例えば「具合が悪かったらすぐにお母さんに言うんだよ」「元気なときでも病院に行って健康かどうか調べてもらうのが大事なんだよ」などです。
発達障害(特に自閉症スペクトラム)の子を持つ親の「抑うつリスク」は高い
また、発達障害、特に自閉症スペクトラムのお子さんがいる親は、抑うつ状態などになるリスクが高いとされています。お子さんが発達障害である場合、サポートする親の労力は大きくなりますからそうなるのも自然と言えるでしょう。
だからこそ「当たり前の日々」を親子で楽しむためにも、早めに・定期的に病院に通うことを推奨します。タイミングが合えばお子さんと一緒に病院に行くのもいいでしょう。
「発達障害の子の親は抑うつリスクが高い」というのは少し辛く思えるかもしれません。ただ、これは「持病があればこまめに病院に行くべき」などと同じで、単なる「事実」でしかありません。完全に割り切るのは難しいことですが、気に病まないことをおすすめします。
まとめ
発達障害のお子さんをサポートするのはやはり大変ですから、親は心身ともに疲れやすいです。そのため「何かあってから病院に行く」のではなく、「何も起きないように病院に行く」という意識を持つことが大事です。
そしてお子さんが親から学び、体調不良などを遠慮せずに訴えたり、健康に気を遣ったりすることができるようになれば、親子で健やかな毎日を送ることができることでしょう。