発達障害の子の姿勢を改善する5つの方法
株式会社フロンティアコンサルティング 代表取締役
上岡 正明 (かみおか まさあき)
大学院にてMBA(情報工学博士前期課程)取得。専門分野は社会心理、小児心理。多摩大学、成蹊大学、帝塚山大学で客員講師等を歴任。子どもの脳の発育と行動心理に基づく研究セミナーは常に人気を博している。著者に『死ぬほど読めて忘れない高速読書』(アスコム)、『脳科学者が教える コスパ最強! 勉強法』(ぶんか社)、などベストセラー多数。中国や台湾、韓国でも翻訳され累計85万部となっている。 Twitterフォロアー5万人、YouTubeチャンネル登録者23万人を超える教育系ユーチューバーでもある。
> 監修者の詳細はこちらこの記事では発達障害のお子さんの姿勢を良くする方法などについて解説していきます。
「良い姿勢を保てないせいで子どもが困っている」「学校で姿勢の悪さのせいでやる気がないと勘違いされやすい」と悩んでいる親は少なくないと思います。
そこで本記事では発達障害のお子さんの姿勢が悪いことで発生するデメリットや、姿勢を改善する方法などについてお伝えしていきますので、ぜひ参考にしてください。
姿勢が悪いことの主なデメリット4つ|発達障害ケア
発達障害のお子さんの中には発達の特性によって生まれつき体幹が弱く、姿勢の悪い子が少なくありません。もちろん姿勢が悪くても生活に重大な悪影響を及ぼすとは限りませんがデメリットは多いです。
1:姿勢のせいでやる気がない・態度が悪いと誤解されかねない
真っ直ぐ座りにくい、背もたれに頼る、頬杖を突くなどの状態になりやすく、そのせいで「やる気がない」「態度が悪い」などと誤解される可能性があります。
発達障害に理解のない先生の場合、「問題行動が多く、姿勢も悪い」という受け取り方になり強い悪印象を抱くかもしれません。
また、立っているときも真っ直ぐ立ちにくかったり、フラフラしたりするなど本人も困るケースが少なくありません。
2:集中力が下がってじっとしていられない場合も
「姿勢を保つこと」にエネルギーを注がざるを得ないため、長時間同じ姿勢で座っていることが非常に辛いです。そのため授業をしっかり受けたくても、集中力をキープすることが難しくなります。
なお「体幹が弱いせいでじっとしていられない」にもかかわらず、「発達障害による多動」と勘違いされてしまう可能性もあります。これは発達障害に理解のある先生であっても少なくない誤解です。
3:真っ直ぐ走りにくい・転びやすい
身体の軸が安定しないため、真っ直ぐ走ることが難しいです。かけっこなどで速く走ることも困難ですからお子さんがコンプレックスを抱くことになるかもしれません。発達障害のお子さんの中には負けず嫌いの子も多く、それにより癇癪を起こす可能性もあります。
中には自分の身体をうまくコントロールすることができず、転びやすい子もいます。危険ですから日々の生活においても親が気を配ることが重要と言えます。
4:学校生活が辛くなっていく可能性も
姿勢が悪い、じっとしているのが難しい、真っ直ぐ走ることが困難というのは、どれも「学校生活の快適さ」に大きく影響するものです。
特に発達障害のお子さんはそれ以外の部分でも学校生活に関して「難しさ」を感じている可能性が高いため、いずれ学校に行き渋るようになってしまうケースもあります。
発達障害のお子さんの姿勢を良くしていく6つの方法|基本は遊び
それでは発達障害のお子さんの姿勢を改善していくための方法やポイントをいくつか挙げていきます。
特に発達障害のお子さんの場合、「楽しいことは楽しみ、つまらないことには取り組みにくい」と傾向がはっきりしているケースが多いですから、露骨にトレーニングという雰囲気にせず、楽しめるように工夫することが大事です。
1:バランスボール、バランスクッション、ゴムボールなどを使う
バランスボールやバランスクッションはスポーツショップなどで購入できます。バランスボールが転がって危険を感じる場合は、台座や水泳の浮き輪などを使って固定することをおすすめします。
特に発達障害でじっと座っていることが苦手なお子さんに関しては、バランスボールやバランスクッションによって適度に刺激を受けた方が集中力できることさえあります。
また、小学校低学年くらいのお子さんが座るのにちょうどいいサイズのゴムボールを使えばトレーニングになります。
2:回転するイスを使う
軸が回転するタイプのイスのことです。三半規管を鍛えたり身体の軸を安定させたりする効果が期待できます。お子さんにとってはかなり楽しいアトラクションになることでしょう。
ただし特に発達障害のお子さんの場合は過集中になったり加減がわからなかったりして、過剰に回してしまう可能性もあります。ですからお子さんが慣れるまではそばで見守ることをおすすめします。
3:親の膝に座らせる
お子さんを親の膝に座らせて、親が少し身体を傾けたり片方の膝を上げたりすることで、お子さんと楽しみながらバランス感覚などを鍛えることができます。身体を支えれば親がほぼ完全にコントロールできるでしょうからケガの心配もありません。
また、親とのスキンシップになりますからお子さんは安心しますし、モチベーションが上がる場合も多いです。そのため宿題などになかなか取り掛かれない場合や、落ち着いて食事ができない日などにも試してみてはいかがでしょうか。
4:親の背中の上で足踏みさせる(マッサージ)
お子さんが小さいうちは親がうつ伏せになって背中を上で足踏みをさせるのもおすすめです(マッサージ)。楽しいですし親が満足している姿を見ることができるため、成功体験を積むことが叶います。
親としても普段マッサージに通う時間などを取れない場合は、これによって腰痛や四十肩などが改善する可能性がありますから意外と有効です(何らかの症状で深刻に悩んでいる場合は医療機関に足を運んでください)。
ただ言うまでもありませんが、お子さんが背中の上で飛び跳ねたり、身体の縁の部分を踏みつけたりしないように教えておきましょう。お子さんのテンションが上がりすぎないように静かな部屋でのんびりした雰囲気を作って行うのが無難です。
5:公園の遊具を使う|その他の遊びもおすすめ
公園のブランコ、ジャングルジム、登り棒、シーソーなどの遊具を使うことも、お子さんのバランス感覚や体幹を鍛えて姿勢を改善することにつながります。あまり「この遊具ならこの筋肉が鍛えられる」などと考えすぎず、お子さんの好きな遊具で遊ばせるといいでしょう。
また、公園のような広い場所であれば鬼ごっこ、縄跳び、ボール遊びなども楽しみやすいですから、お子さんに興味があれば試させてみてはいかがでしょうか。
6:地味なトレーニングも「親との勝負」なら楽しめる場合も
姿勢を改善するためのトレーニングとしても知られている、プランク、片脚立ち、腕立て伏せなどは基本的に地味ですから、そのままではお子さんにとって楽しめない可能性が高いです。
ですが、例えば「お母さんと○○君とどっちが長くできるかな?」などと勝負にすれば、お子さんの性格によっては楽しめるようになるかもしれません。
ただ、先ほどもお伝えしましたが発達障害の方の中には極端に負けず嫌いな子も多いです。「負けると癇癪を起こすことがある」「負ける・負けそうになると行動がストップすることがある」という場合は、様子を見ながら行うか、他の方法を採用することをおすすめします。
まとめ
発達障害のお子さんの中には姿勢が悪い・良い姿勢を長く維持できない子も多く、それによるデメリットの影響で学校生活が嫌になる可能性もあります。そのため親が可能な限りお子さんの姿勢を改善できるようにサポートすることが大事です。
とはいえ「ただのトレーニング」では楽しめないでしょうから、あくまで「遊び」にすることをおすすめします。親子で一緒に楽しめる時間にするのが理想ですね。