発達障害のお子さんがケンカで友達を殴った場合の対応9ステップ
株式会社フロンティアコンサルティング 代表取締役
上岡 正明 (かみおか まさあき)
大学院にてMBA(情報工学博士前期課程)取得。専門分野は社会心理、小児心理。多摩大学、成蹊大学、帝塚山大学で客員講師等を歴任。子どもの脳の発育と行動心理に基づく研究セミナーは常に人気を博している。著者に『死ぬほど読めて忘れない高速読書』(アスコム)、『脳科学者が教える コスパ最強! 勉強法』(ぶんか社)、などベストセラー多数。中国や台湾、韓国でも翻訳され累計85万部となっている。 Twitterフォロアー5万人、YouTubeチャンネル登録者23万人を超える教育系ユーチューバーでもある。
> 監修者の詳細はこちらこの記事では、発達障害のお子さんがケンカなどで人を殴った場合の対応方法などについて解説していきます。
「子どもがケンカで暴力をふるったが、親としてどう対応すればいいかわからない」「そういったトラブルは起きていないものの、万が一に備えて対応方法を知っておきたい」という方もいると思います。
そこで本記事では、発達障害のお子さんがケンカで人を殴ったりケガをさせたりした際の対応手順、学校の先生への報告方法、親として大事な心構えなどについて解説していきますので、ぜひ参考にしてください。
発達障害の子がケンカで人を殴ったときの対応方法9ステップ
それでは発達障害のお子さんがケンカで人を殴ったり、ケガをさせたりした場合の対応方法を紹介していきます。親としては非常に苦しい気持ちになると思いますが、冷静に対応する必要があります。
1:まずはお子さんの言い分をすべて聞く
まずはお子さんの言い分をすべて聞きます。感情に任せてお子さんを叱っても意味がないので注意しましょう。詳しく話を聞き出すことで再発防止や、日頃のサポート・教育のために役立つかもしれませんから、口を挟まずに一通り聞きます。
お子さんが混乱・興奮してうまく話せない場合は、適度に「それで○○はどうなったの?」「どうしてそう思ったの?」などと質問を入れましょう。ただし話を聞き終えるまでは、「あなたが悪い」などのジャッジはしません(頭の中でジャッジしても口には出しません)。
2:「どんなことがあっても人を殴ってはいけない」と教える
話を聞いて、お子さんが悪いと感じても、相手が悪いと感じても(両方が悪くても)、「どんな事情があっても相手を殴るのは絶対にいけないこと」と教えましょう。特に「相手が悪くても殴るのは絶対にダメであり、殴ったあなたが悪い」と教えることは非常に大事です。
現実として「本当にどうしても許せないような重大な侮辱をされたとき」「相手の考え方を何としても変えないと、相手が危険であるとき」などは殴っても仕方がないという考え方はあるかもしれません。
しかし日本のルールでは暴力は絶対に許されませんから、やはり「暴力は禁忌」という教え方をするべきです。暴力の是非について深く思索することは、本人が成長し、自立してからでも遅くはありません。今はまず、ルールとしての禁止を徹底することが先決です。
3:人を殴ること、傷付けることのデメリットを論理的に教える
「とにかくダメ」と伝えることができたら次に、人を殴ることや傷付けることのデメリットを論理的に伝えます。特に発達障害のお子さんは曖昧なことを理解しにくい傾向にあるため、論理的に明確に教えることが大事です。例えば以下の通りです。
- これまでどんなに仲良くしてくれた友達でも一瞬であなたを嫌いになるかもしれない
- 「暴力をふるう人」という噂が広がってこれから友達ができなくなるかもしれない
- 相手が大ケガをしたら、一生かけて相手にお金を払い続けることになるかもしれない
- 加害行為の程度によっては、警察や専門機関が関わる重大な問題に発展する可能性がある
- 当たり所によっては相手が死んでしまうこともある(お子さんの性格によって伝えるかどうか決める)
分かりにくいようであれば図や簡単なイラストも交えて説明しましょう。
4:親も一緒に謝りにいく(早めに)
お子さんを納得させたら親も一緒に謝りにいきましょう。単なるケンカであればお子さんの年齢や性格によっては親同伴でなくても構いません(ケンカの内容によっては大々的に謝る必要もないはずです)。
しかし殴っている以上は親もついていくべきです。また、できれば当日、遅くても次の日にまでは謝りにいくべきです。
5:インターホン越しにまずは親が謝罪
インターホン越しになると思いますが、まずは親が謝罪しましょう(いきなりお子さんから話すのは難しいかもしれません)。前置きや言い訳はせず、すぐに
- 「こんにちは、○○の母です」
- 「○○君とお話させていただけますか?」
- 「○○君、今日は□□が、痛い思いをさせてしまい大変申し訳ありませんでした」
などと謝ります。
6:相手方の話を聞く
最初の謝罪が終わったら相手方の話を聞きます。殴ってしまった友達だけでなく、その保護者も話すかもしれませんが、すべて聞きましょう。
話を聞いているうちに相手方が悪いように感じても、相手の話が終わるまでは何も否定せず「そうですよね」「そうでしたか」など相槌を打ちつつ、とにかく丁寧に聞き続けることが大事です。
7:再度謝罪する(今度はお子さんが)
相手方の話を一通り聞き終えたら再度謝罪しますが、今度はお子さんが謝罪します。親の方から「○○(お子さんの名前)、謝ろうね」などと促すといいでしょう。
あまりにしどろもどろだったり、分かりにくかったりする場合は親がフォローを入れるべきですが、そうでなければお子さんが謝る様子を見守ります(口を出しすぎるとお子さん自身が責任を取った実感を得られません)。
どうしてもその場で謝れない場合は後日手紙か電話で
お子さんがどうしても謝れない場合は、後日手紙などで謝らせるようにしましょう。難しい言葉を使う必要はなく、「ごめんなさい」「もう二度としません」と相手に伝われば大丈夫です。
お子さん同士の関係性によってはメールやLINEで謝罪してもいいですが、誠意が伝わりにくいので、できれば手紙か電話を使いましょう。
8:相手の反応(許す、許さないなど)に応じて動く
謝罪に対して相手方が許してくれたら「ありがとうございます」「本当にごめんなさい」「また仲良くしてくれると嬉しいです」などと対応します。
その場では許してもらえない場合は「今回は本当にごめんなさい」とだけ伝え、それ以上の謝罪や言い訳はせず、「失礼します」と言って、立ち去りましょう。
9:お子さんのメンタルケアをしながら帰宅する(帰宅後もケアする)
たとえ相手に許してもらえなくても・その場では謝れなくても、お子さんが相手方の家に行ったことは良いことですので、「ちゃんと○○君の家に行けたね」「謝れて偉かったよ」などと褒めてフォローしましょう。
発達障害のお子さんは「寝て気分をリセット」があまりできず、翌日以降も引きずる傾向にありますから、その日は丁寧に褒めて終わらせることが大事です。「褒めて忘れさせる」のではなく、「しっかりと褒めて一旦閉める」というイメージですね。
発達障害の子がケンカで友達を殴ったことについて学校の先生にも報告しましょう
順番として「相手方への謝罪」を優先し、それが済んだら、学校の先生にも出来事の経緯を含めて報告しましょう。その際のポイントは以下の通りです。
- 感情的にならない
- 「うちの子が悪い」「相手方が悪い」ではなく、事実のみを伝える
- 今後してほしい指導などがあれば伝える
3つ目については「採用してください」ではなく、「私はこう思いますので検討してください」というスタンスで伝えることが大事です。
必要に応じて専門的なケアも受けさせる
お子さんに暴力などの問題行動をさせないためには、お子さんが抱えているストレスやプレッシャーを和らげたり、過度なストレス・プレッシャーを受けないように環境を整えたりすることが大事です。
それらはもちろん親や学校の先生にもできることですが、対応しきれない、もしくは不安が残る場合は専門的なケアも受けることをおすすめします。
メンタルケアの専門家などを頼ってもいいですし、発達関連のことを診てもらっているかかりつけ医がいる場合は、その人に相談してみるのも選択肢の一つです。いずれにしても親が一人で抱えこまないようにしましょう。
お子さんの行動すべてに親が責任を持つ覚悟が必要です|発達障害ケア
最後になりますが、お子さんが発達障害であってもなくても親には、お子さんの行動すべてに責任を持ち、お子さんの行動に対して、必要な対応する覚悟が欠かせません。
24時間お子さんを見守ることはできませんし、友達を殴るなどの行動も、ほとんどは親が見ていないところで発生することでしょう。しかしそれでも「私は知りません」「子どものしたことです」で済ませず、「必要な対応」をするのが親のつとめと言えます。
ときには「理不尽だ」「相手が悪い」などと感じるかもしれませんし、そういった感情そのものはあっても構いませんが、「気持ちとは別に、行動する必要がある」ということを忘れないでくださいね。
まとめ
発達障害のお子さんがケンカなどで友達を殴った場合の対応方法について解説してきましたが、特に重要なのは「相手が悪くても殴ってはいけないと理解させること」と「許してもらえなくても相手に謝ること」です。これは発達障害であってもなくても同じです。
親としてはときに理不尽さを感じるかもしれませんが、理不尽さを感じたままで構いませんから、「謝罪」「お子さんへの教育」などの必要な行動をしましょう。それも親の大事な仕事です。