発達障害の子に「後からの声がけ」をする際の4つのポイント
この記事では、発達障害のお子さんに対して、あえて時間を置いてから声をかける「後からの声がけ」のメリットや、実践のポイントについて解説します。
「ちょっと時間があいてから褒めたり注意したりする場合の上手なやり方がわからない」とお悩みの方は少なくないと思います。そこで本記事では、発達障害のお子さんに「後からの声がけ」をすることのメリット、ポイントや注意点、そして数週間~数か月後の声がけが効果的になる例などに関して解説していきますね。
発達障害の子への「後からの声がけ」の4つのメリット
それでは発達障害のお子さんへの「後からの声がけ」のメリットをいくつか紹介していきます。
※本記事では「何かあったときにすぐに褒める・注意する」のではなく、少し時間があいてから声をかけることを「後からの声がけ」と呼んでいます。
1:その場の集中を切らさない
せっかくお子さんが作業などに集中していても「その場での声がけ」によって途切れてしまう可能性がありますが、「後からの声がけ」であればもちろんそのようなことは起きません。
特に発達障害のお子さんのなかには、一度途切れた集中力を再び高めることに強いエネルギーを要するケース(特性によるもの)が多いため、その場で声がけをするか、後で声がけをするかは慎重に判断しましょう。
基本的に周りの声も聞こえないほどに集中しているならひとまず声はかけなくていいはずです(過集中を解く場合などを除く)。
2:うっとうしくなりにくい
7~8歳くらいまでは大人からの「その場の声がけ(『褒め』も『注意』も)」もすんなり受け入れられる子が多いものの、9~12歳くらいからはうっとうしく感じ始める子が少なくありません。
もちろん必要な場面では注意する必要がありますが、その場で純粋に褒めたつもりでも、お子さんは「やる気が出てきたところでなんだかゴチャゴチャ言われてしまって、急にモチベーションが下がった」という状態になりかねません。
「ゴチャゴチャ言われた」と感じるような表現は、親としては少し寂しく思うかもしれません。しかし、思春期に差し掛かる子どもの内面では、それほど繊細な変化が起きているのです。
3:落ち着いて・整理して伝えやすい
「その場の声がけ」をする場合、焦ってしまってうまく伝えられないケースもあります。そして親子ともに慌ててしまえば、そのまま「え?なに?」→「ああ、もう、なんでもない、頑張って!」→「はぁ?」のようないがみ合いに発展してもおかしくありません。
一方、「後からの声がけ」であれば情報を整理した上で落ち着いて伝えやすくなりますよね。特に発達障害のお子さんの中には「まとまっていない情報を自分で整理すること」が苦手な子も少なくないため、伝える側が努力することも大事です。
4:声がけがコミュニケーションの一環になる
例えば、お子さんと一緒に夕ご飯を食べながら「今日は○○を頑張っていたね」などと褒めれば、それがそのままコミュニケーションの一環になりますよね。一方の「その場の声がけ」はあまり話も長くないため(長くするべきではないです)、コミュニケーションにはなりにくいです。
発達障害のお子さんは日々「難しさ」を抱えてストレスを溜めている傾向にありますし、中には「本当に心の底から信頼できるのは親だけ」という状態になっている子もいます。そのため、親子でたくさん会話をしてお子さんの気持ちを落ち着かせ、信頼関係を高めていくことも大事です。
発達障害のお子さんへの「後からの声がけ」の4つのポイント・注意点
それでは発達障害のお子さんへの「後からの声がけ」に関するポイントや注意点をいくつか紹介していきます。
1:基本的にその日のうちに声がけする(注意する場合は特に)
発達障害でなくても日をまたいでから褒められたり注意されたりしても響きにくいですが、特に発達障害のお子さんのなかには、過去の出来事を鮮明に思い出すこと(エピソード記憶の想起)を苦手とするケースもあり、翌日以降に声をかけてもピンとこない可能性があります。
それでも褒められる場合は「あまりよくわからないけれどまあ嬉しい」で済むかもしれませんが、何か注意したり叱ったりしたケースでは「(忘れていて)やっていないことで怒られた」という気持ちになってもおかしくありません。
また、覚えていたとしても「気分よく過ごしていたのに、なんで急に昨日のことで怒るんだろう……」「昨日言えばいいのに……」と思われる可能性がありますよね。
2:できるだけ短く(注意の場合は特に)
褒める場合は少し長くなっても構いませんが、注意するのであればできるだけ短くまとめましょう。そうでないとお子さんが嫌になりますし、基本的に「話が長すぎる=まとまっていない」ですからお子さんに伝わりにくい可能性が高いです。
ドラマなどではよく「○時間も怒られた」などの表現が出てきますが、現実ではどれほど重大な問題行動を注意するとしても、要点をまとめれば5分もかからないはずです。
「ある程度意図的に長く叱った方が伝わるのでは?」と感じるかもしれませんが、単に「怒られた」という印象だけが残って、内容は伝わらない可能性があるのでおすすめしません。
紙に内容をまとめてから話すのもアリです
せっかく後からの声かけをする(=時間がある)のですから、伝えたい内容を紙にまとめておくのもいいでしょう。「紙に書いた内容を語っても気持ちが伝わらない」と感じるかもしれませんが、アドリブで話して無駄に長引いてしまう方が伝わりにくくなりますよね。
3:注意が終わったらすぐに空気を切り替える
どれほどの問題行動を注意する場合でも、その注意が終わったらすぐに空気を切り替えましょう。例えば「よし終わりね」と言って頭を撫でたり、「あなたはできる子なんだから」と軽く手を叩いたりするなど「切り替えの儀式」を決めておくのもいいでしょう。
お子さんの立場で考えると「注意が終わったのにまだ怒っている、もしくは機嫌が悪い親」というのは手がつけられません。一通り注意されているのでそれ以上できることが何もありませんし、謝ったとしても「うん、もういいよ」と不機嫌な表情で言われるだけです。
つまり「自然に機嫌が良くなるのを待つしかない」のですが、それがいつになるのかはわかりませんからお子さんにとって多大なストレスになります。特に発達障害の場合、先行きが見えないことが苦手な傾向にあるため、いつ機嫌が直るのかわからないのは本当に苦しいことです。
あとは親の方が無理にでも明るく振る舞う
親の方がいくら切り替えても、お子さんの方が萎縮してしまう場合もあるかもしれません。ただ、そういったケースでも親サイドが無理にでも明るく振る舞いましょう。そうしているうちに徐々にお子さんも「もう気にしなくていいのかな……」と感じて、そのうち自然体になっていきますよ。
4:寝る直前の注意は避ける
寝ると気持ちがほとんどリセットされる人は多いと思いますが、発達障害のお子さんの中には「ほぼそのまま」くらいの状態で翌日を迎える子が少なくありません。そのため寝る直前に注意するのはおすすめしません。次の日に学校生活に響く恐れがあります。
そのため寝る直前に注意の「後からの声がけ」をするのはやめましょう。遅くても夕方くらいには済ませるべきです。どうしても寝る直前に「後からの声がけ」をする場合は、注意が終わってから何倍も褒めて印象を上書きすることが大事です。
数週間~数年後の「後からの声がけ」が効果的な3例|発達障害支援
先ほどもお伝えした通り、「後からの声がけ」といっても基本的には当日中に済ませるべきです。
ただ、例外的に数週間~数年後の「後からの声がけ」が効果的になるケースもあるので例を紹介します。色々と応用してみてくださいね。
各例の共通点は「自分をずっと見てくれていたとわかって、心に刺さる」です。
例1:夏休みの宿題を終えてから全体的に褒める
夏休みの宿題が少しでも進むたびにこまめに褒めることももちろん大事です。ですが、全体が終わってから「この夏休み、よく頑張ったね」「コツコツ勉強していたこと、お母さん見てたよ」「嬉しかった」など、「ここまでの過程」を褒めることで、お子さんにより刺さります。
例2:受験を終えてから頑張っていたエピソードをピンポイントで褒める
受験が終わってから、例えば「一度諦めかけて遊びに行ったこともあるけれど、すぐに立ち直って偉かったよね」「諦めかけても復活できる強い心があるから合格できたんだろうね」と褒めることで、その後の人生でも「何度諦めかけても頑張ること」がお子さんのモットーになるかもしれません。
ポイントは「受験の合格」「テストで高得点を取ったこと」などの結果ではなく、「過程」を詳細に褒めることです(もちろん結果そのものも褒めつつです)。
例3:落ち込んでいるお子さんに「あのときのあなたは……」と褒める
発達障害であってもなくても、ときには「自分なんて誰も必要としていないのかもしれない」と感じるくらいに落ち込んでしまうことがありますよね。そういった際に、過去のエピソードを交えつつ褒めると、お子さんの自己肯定感が上がるかもしれません。
例えば「でも、あなたは中学の頃に誰も見えないところで○○君を助けたじゃない」「他にも□□で~、△△で~」「だからお母さんはあなたが立派だと思うし、いつでも絶対に味方だよ」などですね。