不登校でホームスクーリングを選択する3つのメリットと6つのデメリット
この記事ではお子さんの不登校で悩んでいる保護者の皆さんに向けて、ホームスクーリングを選択することのメリットやデメリットなどについて解説します。特に、自宅で勉強させられないかとお考えの方や、すでにホームスクーリングの検討を始めているものの具体的なことがわからないとお悩みの方などにおすすめの内容となっています。
本記事ではホームスクーリングの概要や主な種類、日本におけるホームスクーリングの現状、ホームスクーリングのメリット・デメリット、そしてホームスクーリングをするか判断するにあたっての心構えなどに関して解説しますので、ぜひ参考にしてください。
ホームスクーリングとは|3種類のホームスクーリング
ホームスクーリングとは、学校に通わず家庭を拠点に学習することを指します。「ホームスクール」や「ホームエデュケーション」と呼ばれることもあります。
ホームスクーリングの種類
ホームスクーリングには主に3種類あります。
- ラーニングアットホーム:学校の教科書を使って、保護者の授業やオンライン講座を受ける
- アンスクーリング:特定のカリキュラムではなく、子どもの興味関心に沿って勉強を進める
- エクレクティック:上記2種類の中間のようなスタイル
より学校に近いやり方で勉強を進めたいならラーニングアットホーム、そうでなければアンスクーリングかエクレクティックを選ぶことになるでしょう。
日本におけるホームスクーリングの現状
実は日本ではホームスクーリングに関する明確な法律はなく、この条件を満たせばホームスクーリングである、などの定義もありません。また、ホームスクーリングで問題なく勉強などを進めている場合でも不登校扱いになる可能性があります。
ただ、日本の不登校の小中学生は2022年度の段階で30万人ほどとなっており、その後も年々増加しており、そのうち50%以上の子どもが年間90日以上欠席しています。そのため、今後日本でもホームスクーリングが普及していく可能性があります。
不登校でホームスクーリングを選択する3つのメリット
続いては不登校のお子さんと保護者がホームスクーリングを選択することの主なメリットを紹介していきます。学校に行けない状態の子にとっては魅力的に感じると思いますが、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。
メリット1:学校生活の負担がなくなる
ホームスクーリングを選択することで学校生活の負担がなくなりますよね。具体的には主に以下の通りです。
- クラスメイトとのコミュニケーションや集団生活のストレス
- マイペースで活動できる機会が少ない
- 規則正しい生活を送る必要がある
成長過程にあるお子さんが規則正しい生活を送るのは重要ですが、それが本人にとって多大なストレスになり得ることも事実ですよね。その負担がなくなることで積極的にホームスクーリングができるなら悪くない、という見方もできるかもしれません。
メリット2:自分のペースで勉強できる
ホームスクーリングでは基本的に一人で勉強するので、自分のペースで進めていくことができます。理解しにくい部分はじっくり学ぶ、得意なところは軽く流したり発展レベルまで勉強したりするなど、学校教育では難しいような調整もできます。
また、他のお子さんに合わせることもないので、自分自身の興味関心を高効率で追及できるというメリットも。
メリット3:主体性が強くなりやすい
ホームスクーリングでは先生の指示や学校・クラスのルールに従う必要がないため、お子さんの主体性が強くなりやすいといえます。
ただ、完全にお子さん一人で進めると、多大な負担があって早い段階で投げ出し、主体性を育む以前の話になってしまうかもしれません。ですが実際のホームスクーリングでは、保護者に考えを伝えたりサポートを受けたりするので、バランスがいいといえます。
不登校でホームスクーリングをする6つのデメリット
続いては不登校でホームスクーリングをすることの主なデメリットを紹介します。メリットのみに目を向けると一見華やかで、誰にとっても効果的な不登校対応に思えるかもしれません。しかし実際には無視できないデメリットも多いので気を付けてくださいね。
デメリット1:保護者の責任や負担がかなり大きい
学校教育では複数の先生がお子さんの生活を管理してくれますし、共に助け合うクラスメイトもいます。その分自由度は下がるでしょうが、様々な人や制度のサポートを受けられるのは学校に通う大きなメリットといえますよね。
一方、ホームスクーリングでは大部分を保護者が管理しなければなりません。例えば勉強面では、学習スケジュールや管理、授業内容、追い付けない場合のフォローなど、保護者が細部まで気を遣ってケアする必要があります。
もちろんお子さん自身も努力はするはずですが限界はありますし、特に小学校低学年くらいのうちは、ほぼ100%保護者がコントロールするくらいの覚悟は持っておくべきです。
教員免許を持てるレベルのノウハウと時間的な余裕が継続的に必要
子どもためなら頑張れると感じたかもしれませんが、学校教育に見劣りしない勉強をさせるためには、保護者に教員免許を持てるレベルのノウハウが必要と言わざるを得ません。実際に学校では、そのレベルのプロフェッショナルが複数人で子どもをサポートしていますよね。
また、日中の大半をお子さんのために費やせるような時間的な余裕も欠かせず、特に共働き世帯の場合は、たとえ保護者全員に教員レベルの能力があってもホームスクーリングを成立させるのは難しくなる可能性が高いです。
それでも努力できるという方もいるでしょうが、一時的にエネルギーを使えばいいのではなく、継続的にその環境を用意しなければならない点に注意が必要。これに限らずお子さんをサポートする上では、その場限りではなく継続できるかという視点を常に持つことをおすすめします。
デメリット2:人間関係を構築しにくい
ホームスクーリングでは基本的に家庭学習をするので、同じ年代の子どもとコミュニケーションを取る機会が極端に少なくなります。大人数で何かを成し遂げる、みんなでルールを守って遊ぶ、ときには喧嘩をする、全員と仲良くすることは諦めて適切な距離感を保つ、などの経験は学校なら簡単に詰めますが、ホームスクーリングでは非常に難しいといえるでしょう。
それでもすぐには影響が見えないかもしれませんが、高校入学以降や社会人になってから人間関係で悩みやすくなったり、少しの対人ストレスにも耐えられなくなったりする可能性があります。
デメリット3:運動の機会が減りやすい
学校では体育などでほぼ強制的に体を動かす機会がありますが、ホームスクーリングではそれがなくなるので運動をする時間が短くなりやすいですよね。
それでも例えば、1日30分走る、毎日ラジオ体操をするなどのルールを作ればある程度対応できるかもしれません。しかし学校教育のようにバランス良く様々な運動能力を鍛えるには、やはり体育教師並みのノウハウが必要になることでしょう。
不登校のお子さんの中には運動不足で歩行困難になる子さえいる
特に小学校低学年くらいで不登校になって運動の機会が少なくなると、体が強くなる余地がなくなって歩行さえままならなくなる場合もあるので気を付けてください。中学生以降の運動不足とは根本的に違うくらいに考えておくべきでしょう。
デメリット4:給食が食べられない
給食は栄養バランスが整っていてバリエーションも豊かですが、ホームスクーリングでは当然それが食べられなくなります。家庭で食事の用意をすることも可能でしょうが、給食レベルのものを準備するとなるとやはり専門的な知識が必要です。
特に家庭の都合でお子さん自身が食事を準備するとなると、好きなメニュー・用意が楽なメニューに偏ってしまう恐れもありますね。
デメリット5:昼夜逆転など生活リズムが崩れやすくなる
毎日学校に通う場合と異なり、ホームスクーリングでは基本的に決まった時間に寝起きする必要がないので、昼夜逆転など生活リズムが崩れやすいといえます。
そのまま勉強などへのモチベーションが下がって、オンラインゲーム、YouTube視聴、SNSなどにのめり込んでデジタル依存のような状態になり、学校への復帰を考えていた場合でも。それが難しくなる恐れもあるので注意が必要です。
デメリット6:高校進学などで不利になりやすい
学校側に理解があってきちんと連携できていれば、ホームスクーリングであっても出席扱いになるものです。ただ、出席扱いになっても内申点がゼロになることが多く、高校進学などで不利になる可能性も。場合によっては通信制や定時制の学校以外の選択肢がほとんどなくなることさえあります。
健全なホームスクーリングをするハードルは高いので慎重な判断が必要
解説してきたように不登校でホームスクーリングを選択するメリットもありますが、保護者にノウハウと余裕があって、かつ学校側からの深い理解もないと、デメリットが大幅に上回る可能性が高いといわざるを得ません。
そのため事前に慎重に考えた上で、ホームスクーリングをするかどうかを決めましょう。お子さん自身にメリット・デメリットをきちんと説明するのは当然として、保護者が継続的にサポートできるかに関しても、甘く見積もらずに判断するべきです。
ホームスクーリング以外の選択肢は?
ホームスクーリング以外の選択肢としては、まず学校に通い続けることがあります。不登校になりそう、もしくはなっている理由によっては、学校側とも相談した上で、学校に行った方が得られるメリットが大きくなるかもしれません。
それができないから不登校になっている、という方もいるでしょうが、やはり学校という特別な空間で得られるメリットはとても貴重です。そのため状況によりますが、一旦冷静になって、学校に行き続けることはできないか考えてみることをおすすめします。
他にはフリースクールに通う方法などがありますが、こちらもホームスクーリングに近いデメリット・注意点があるので、できれば学校に行きたいところです。
まとめ
不登校のお子さんや保護者にとって魅力的な部分も多いホームスクーリングですが、それは保護者側にノウハウと余裕があるからこそ成立する話です。安易にホームスクーリングを選択すると、生活リズムが崩れる、勉強や運動をしなくなるなどのデメリットが発生しかねないので気を付けてください。
いずれにしてもお子さんの不登校で悩んでいる場合はまずは学校に相談するなどして、不登校以外の手段が取れないか考えることをおすすめします。もちろんお子さんの意思は必ず確認しましょう。実は学校に行きたいと思っているかもしれません。