「叱る」を減らす4つのポイント+叱るコツ4選
この記事では、発達障害のお子さんを叱ることを減らすポイントなどについてお伝えしていきます。「子どもをどう叱ればいいかわからない」とお考えの方は多いと思いますが、実はそれ以前の「どう叱ることを減らすか」を考える方がいいかもしれません。
本記事では、発達障害のお子さんを叱ることを減らすことの重要性、「叱る」を減らす方法、叱る際のポイントなどに関して解説していきますので、ぜひ参考にしてくださいね。
叱ることを減らす工夫をするのが大前提
発達障害のお子さんの中には、間違った行動から学習することや、行動をするべきか判断し修正していくということが苦手な場合が少なくありません。そのため叱ることを減らす工夫をする、言い換えると「間違った行動ができない環境」を作ることが大事です。実際、発達障害のお子さんを支援する特別支援教育でも、「そもそも失敗しない環境」を整えることに力を入れているケースが多いです。
「正しい行動」が定着し、相対的に「間違った行動」が減る
そうしてお子さんが「正しい行動」を繰り返すようになれば徐々に定着していき、必然的に「間違った行動」の割合が減っていきます。「間違った行動を正す」というよりは、「正しい行動を増やす」のが重要ということですね。
「叱る」を減らすための4つのポイント|発達障害支援
それでは発達障害のお子さんを叱ることを減らすためのポイントをいくつか紹介していきます。もちろんそこまで肩肘張る必要はありませんし、叱るべきときは叱ればいいですが、大人の事前の環境づくり(準備)で防げる側面が大きいとも考えておくといいと思います。
1:大人から見て当たり前のルールでも「先」に教える
例えば「相手の説明が終わってから質問する」「食事中は立ち上がらない」など、大人から見て当たり前のルールでも、お子さんはまだ知らない可能性があるので、何かある前にできるだけ「先」に教えるのが大事です。
もちろん周りの大人や友達などから「ルール」を覚える場合もありますが、発達障害のお子さんは「空気を読む」「暗黙の了解を理解する」などのことが苦手な傾向にあるため、「いつの間にか覚えている・知っている」ということはあまりないと思っておくべきです。
2:「遊ぶ」「はしゃぐ」「騒ぐ」などのトリガーを先に渡さない|まずは説明から
例えばお子さんに紙粘土の宿題をさせるとします。この場合、先に紙粘土を渡してしまうと、紙粘土が気になって激しくソワソワしたり、触って大騒ぎしたり、全く話を聞かなくなったりする可能性が高いです。
そのため順番としては「宿題の説明をする」→「紙粘土を渡す」です。紙粘土を触らせながら説明するのであれば「話の聞き方を説明する」→「紙粘土を渡す」→「宿題の説明をする」といいでしょう。他にも「まずは説明から」の例を3つ挙げますね。
- 遊園地に入ってから説明するのではなく→移動の車の中で話す
- 本屋さんに入ってから「選んでいいよ」というのではなく→本屋に入る前にある程度説明しておく
- 缶ジュースを買ってから開け方を説明するのではなく→先にイラストなどで開け方を説明する
もちろん「先」に全部は説明できず、「やりながら説明する」こともあると思いますが、それでもできるだけ事前に説明するのがポイントです。
3:良い行動を日頃からどんどん褒める
良い行動を日頃から積極的に褒めるようにすれば、相対的に「叱る」のウエイトが下がります。例えば「1回褒める、1回叱る」と「10回褒める、1回叱る」とでは、叱る回数は変わりませんが、比率は大きく変わりますよね。
そうして良い行動を褒めて、良い行動が定着すれば、間違った行動が減っていきます。「環境を整えて失敗を減らす」ことと狙いは似ていますよね。
発達障害のお子さんを叱る際の4つのポイント
それでは発達障害のお子さんを叱るときのポイントをいくつか挙げていきます。「褒める」はむしろある程度気軽に行うべきですが、「叱る」というのは軽い行動ではありませんから、きちんと戦略を練って行うことが大事です。
1:大きな声を出さず、感情を抑える
大声を出したり感情的になったりすると、恐怖で支配されてその後の言葉が入らなくなる可能性があります。それならまだしも叱り終えた後も恐怖が続き、行動が全体的にビクビクしたものになることすらあり得ます。そのため普段通りか、もしくはそれより優しい声で話すことが大事です。
また、大声を出すと叱る側も興奮して、感情任せに良くないことを言うケースもあります。さらに大声を出しているときはアドレナリンが増えて、快感を覚えて、最悪の場合「叱り依存」のような状態になることも。
怖がらせると「怖いか怖くないか」で判断するようになる
叱る際に少しくらい怖がらせてしまうのは仕方がありませんし、ケガにつながりかねない場合などは瞬間的に怒鳴る必要もあるかもしれません。ただ、常に恐怖で支配するようになると「正しいか正しくないか」ではなく、「怖いか怖くないか」で判断するようになる恐れがあります。
そうなると以下のような問題が発生するかもしれません。
- 「怖くない大人」や「怖くない状況」に対しては際限なく甘える(傍若無人になる)
- 「怖い大人」や「怖い状況」に対しては何もなくても怯える
- 失敗を恐れて物事に対するチャレンジ精神がなくなる
- 「正しいかどうか」ではなく、「やってみて親が不機嫌になるかどうか」などで判断する
- 成長して後輩、部下、子どもなどができてから、自分も恐怖で支配する
2:睨まない
普段通りのトーンで話して感情的になっていないつもりでも、表情が怖くなっている人が少なくありません。その場合、お子さん側が受ける印象は「睨まれた」「すごく怒っている」「怖い」などとなってしまうことでしょう。
そうならないためにも意識的に少し口角を上げることをおすすめします。威圧しないように気を付ける必要があります。
3:具体的に叱る
例えば「ダメでしょ!」と叱るだけではお子さんに何も伝わりません。そのため例えばお子さんが傘を振り回していた場合は、「傘を振り回すのは危ないよ」「先端を地面に向けて持ってね」などと具体的に指摘しましょう。いったん傘を預かって正しい持ち方を見せるのもいいです。
また、「傘を振り回してはダメよ!」だけでは「じゃあどう持てばいいの?」となる可能性があるため、まずは「傘を振り回すのは危ないよ」と否定形を使わずに伝えて、その後正しい持ち方を教えるのが大事です。
ちなみに具体的に叱ろうと心掛けることで、叱る側も「どう叱ろうかな」と考えますので冷静になりやすいというメリットもあります。
4:改善策を一緒に考える
成長度合いや「何について叱るのか」にもよりますが、できればお子さんと一緒に改善策を考えましょう。「何が悪かったのか」「次はどうすればいいか」を考えることで、別の行動においても活きてくるかもしれません。
一例として「この入れ方だとプリントがシワシワになっちゃうね」「どう入れればいいかな?」などとお子さんに落ち着いたトーンで問いかけます。するとお子さんは「ファイルに入れればいい」などと答えられることでしょう。
そして「よく気付けたね、偉い!」などと褒めることで「これが正しい行動なんだ」と学習できますし、例えば「他のものもファイルに入れればいい」など応用できるようになるかもしれません。
親も正しい・正しくないを常にアップデートする必要がある|発達障害支援
「正しい」「正しくない」、「好ましい」「好ましくない」などは時代やお子さんの成長によって変化していくので、親もそれに合わせてアップデートしていく必要があります。
例えば「YouTubeばかり観ているので叱りたい」としても、テレビを観る時間は減っていて、実は「動画を観ている時間」は全体的に減っているかもしれません。「外で遊びなさい」と言おうと思っても、そもそも外で遊びにくい環境である可能性もあります。
色々な人の考えや価値観に触れながら、「どういう条件なら叱るか」という軸を作っていくことが大事です。
まとめ
特に発達障害のお子さんの場合、発達の遅れや偏りがありますので、叱る際には「なんとなく」ではなく論理的に叱ることが大事です。そうでないとお子さんの考え方や軸が歪んでしまう可能性もあります。
また、そもそも「どう叱るか」よりも「どう叱らなくて済む状況を作るか」の方が重要ですので、意識していただければ幸いです。