集団行動を身に付けるための5ステップ|発達障害支援
この記事では、発達障害のお子さんが学校や園などの集団行動において、無理なく周囲と調和していくための具体的なステップとサポート方法について解説します。
「いくら言っても集団行動ができない」「協調性がなさすぎて……」と悩んでいる方は少なくないと思いますが、考え方を変えることで解決に向かうかもしれません。本記事では、発達障害の子が集団行動できるようにするためのステップ、集団行動しやすくなるためにできるサポート方法などに関して解説していきますね。
集団行動ができるようになるための細分化5ステップ|発達障害支援
それでは発達障害のお子さんが集団行動できるようになるためのステップを紹介していきます。「集団行動ができない」と抽象的に捉えるのではなく、具体的にどのような課題があって、それにどう対応するべきか考え、実践することが大事です。
1:具体的にどのような課題があるのか取り出して考える
一言で集団行動ができないといっても、例えば「給食で並ぶ列を乱す」「授業中の話し合いに全く参加しない」「体育の組体操で好き勝手に動く」など色々な課題があるはずです。それを取り出してみて「ではこの課題にどう対応するか?」とさらに具体的に考えることが大事です。
お子さんに対して同時にたくさんの課題を与えてしまうとパンクする可能性があるので、まずは一つの課題に絞って取り組むことが、お子さんの心理的負担を減らし、確実なステップアップに繋がります。
ただ、成長度合いや、課題の難易度などによっては同時に複数の課題を出してもいいと思います。この辺りはお子さんの様子によって調整しましょう。もちろんうまくいかない部分があればその都度調整を繰り返します。
2:なぜ課題をクリアできていないのか考える
浮かび上がってきた課題について、クリアできていない理由を考えてみます。例えば「給食で並ぶ列を乱す」なら以下のような理由があるかもしれません。
- どこを見て歩くべきか理解していない
- 列の進むスピードが遅すぎてイライラしている
- 食べ物自体や配膳のことが気になりすぎている
お子さんの家庭での様子や先生などからの報告と照らし合わせながら、「これかも」という仮説を立てていきます。これは行動の背景を探るためのアプローチであるため、最初から正確な正解を導き出す必要はありません。
3:「課題をクリアできそうな方法」を実践していく
そして課題をクリアできそうな方法を実践していきます。また「給食で並ぶ列を乱す」を例に取って考えるなら以下の通りです。
- どこを見て歩くべきか理解していない→前の子の背中についていくように教えるなど
- 列の進むスピードが遅すぎてイライラしている→「遅いのが当然」と今一度教える、友達との会話を楽しむように教えるなど
- 食べ物自体や配膳のことが気になりすぎている→献立表の写真を持たせる、いっそ毎回給食当番をさせるなど
もちろんどの方法によって課題をクリアできるかはわかりませんし、複数の方法を組み合わせることでクリアできる場合もありますが、可能性の高そうなものから試行錯誤をしていきます。
4:課題をクリアできたら(方向性が合っていれば・進歩できたら)褒める
課題をクリアできたらきちんと褒めることで「この行動で良いんだ!」「また褒められたい!」と感じるため良い行動が増えていきます。「褒め」を繰り返して行動を定着させることが大事なので、課題をクリアできてからもこまめに褒めるようにしましょう。
また、完全に課題をクリアできる前でも進歩があればそれを褒めます。給食の列の話で言えば「これまではほとんど並べなかった」「でも数分なら大人しく並べるようになった」のであれば褒めます。
さらに言えば「これまでは並ぼうとする意志もあまりなかった」「でも並ぼうという姿勢は見せるようになった(ただしあまり大人しくしていられない)」など、行動の方向性が合っている場合でもしっかり褒めます。
5:新たな課題に挑戦する(1に戻る)
そして新たな課題に挑戦します。これを繰り返すことで、徐々にいわゆる「集団行動ができる」「協調性がある」という状態に近づいていきます。
「キリがない」と感じるかもしれませんが、「一つも課題がなく完璧な協調性がある人」はいないので、ゆっくり一つずつ課題をクリアしていくだけでも十分です。
また、「一つの課題を完全にクリアする」→「新たな課題にゼロから挑戦する」など明確に区切りができるわけではないので、例えば「この課題はだいたい目途がついたから別の課題のことも考えてみよう」などある程度柔軟に考えることをおすすめします。
発達障害の子が集団行動をしやすくなる5つのサポート
続いては発達障害のお子さんが集団行動をしやすくなるためのサポート方法をいくつか紹介していきます。
先ほどは「課題を一つずつクリアしていくこと」にフォーカスしましたが、ここからは「その場その場で効果が出やすい方法」「ちょっとした助けになる工夫」などについて解説していきますね。
1:感覚過敏への対策をする
発達障害のお子さんの中には感覚過敏な子が少なくありません。特に聴覚過敏の場合、クラスメイトの声などでも苦しくなることがあるため、イヤーマフやイヤホンなどを使うといいかもしれません(学校で使う場合は先生に相談しましょう)。
2:お守りのような道具を持たせる
不安を感じやすい子の場合、普段から気に入っている道具や好きなものを持たせることで、気持ちが落ち着いて集団行動をしやすくなるかもしれません。
もちろん学校におもちゃやぬいぐるみなどを持ち込むのは難しいと思いますが、例えば親が渡したお守り、キレイな色のペン、キャラクターをかたどった消しゴムなどであれば持ち込めるはずです。
3:疲れたら一時的に離脱して休める環境を作る
集団行動に疲れてきたら一時的に離脱して休める環境を作るのもおすすめです。「あまり休むと意味がないのでは……」と感じるかもしれませんが、たとえ数分でも集団の中にいられるようになるのは大きな進歩なのではないでしょうか。
用意できるなら物理的な休憩スペースを作るのもいいですし、それが難しければ先生など周りの大人のところに駆け寄って話ができるようにすると落ち着きやすいです。
4:少人数・仲良し集団の遊びから慣れる
まずは「少人数の気の合う友人との遊び」を通じて、他者と関わる楽しさを体験することから始めましょう。普段は一人遊びを好むお子さんにとって、小さな集団に加わること自体が極めて大きな前進です。
そこから徐々に人数を増やしたり、よく知らない子とも関わるようにしたり、遊びではなく授業でも集団と関わるようにしたりすることで、お子さんは無理なく成長していくことでしょう。
5:先生など大人にもサポートしてもらう
必要に応じて、先生などの大人も集団の中に入ってサポートするようにします。
もちろんどの先生でも行っていることではありますが、特に通常学級では発達障害に関して理解が薄い先生もいますので、その場合は発達障害とお子さん個人の特徴を伝えつつ「気にかけていただけると助かります」などお願いするといいでしょう。
まとめ
発達障害であってもなくても特に子どもに対して「もっと集団行動をしなさい」と指示しても抽象的すぎて難しいので、「課題を見つけて」「課題の解決方法を考えて」「課題をクリアできるように実践していく」ことが大事です。
それを積み重ねていくことで徐々に「協調性がある」などと褒められるようになっていきますが、その積み重ねをしやすくするためにも、今回紹介した「感覚過敏対策」「お守りを持つ」「休憩を入れる」なども試してみていただければと思います。