発達障害のお子さんがいじめられることを防止・改善する8つの方法
株式会社フロンティアコンサルティング 代表取締役
上岡 正明 (かみおか まさあき)
大学院にてMBA(情報工学博士前期課程)取得。専門分野は社会心理、小児心理。多摩大学、成蹊大学、帝塚山大学で客員講師等を歴任。子どもの脳の発育と行動心理に基づく研究セミナーは常に人気を博している。著者に『死ぬほど読めて忘れない高速読書』(アスコム)、『脳科学者が教える コスパ最強! 勉強法』(ぶんか社)、などベストセラー多数。中国や台湾、韓国でも翻訳され累計85万部となっている。 Twitterフォロアー5万人、YouTubeチャンネル登録者23万人を超える教育系ユーチューバーでもある。
> 監修者の詳細はこちらこの記事では、発達障害のお子さんがいじめに遭うのを防ぎ、また万が一、いじめが発生した場合に状況を改善するための具体的な方法について解説します。すでにいじめられているので対応したい、いじめられないための防止策を知りたいと悩んでいる方は少なくないと思います。
そこで本記事では、発達障害のお子さんのいじめに対する心構え、対処における基本方針、具体的な対処方法などに関して解説していきますので、ぜひ参考にしてください。
いじめに遭いやすいという「事実」を受け止める
まずは発達障害のお子さんは、いじめに遭うリスクが高いという事実を受け止めることが大事です。受け止めてこそ対策ができますし、お子さんともまっすぐ向き合うことが可能になるためです。
発達障害だからいじめられやすいというのはデリケートな話ですし、目をそむけたくなるかもしれません。しかし目をそむける方が辛くなることでしょう。
ただの事実でしかありません
そしていじめられやすいというのは単なる事実でしかありません。例えば、背が高いので頭をぶつけやすい、雨の日は視界が悪いので事故に遭いやすいといった、環境的な要因と結果の関係と同じです。そのため重く受け止める必要はないのです。
いじめられる側「も」悪いという論調は絶対にNG
また、いじめられる側「も」悪いという言い方・考え方は絶対にNGです。
世間には、いじめられる側にも何らかの原因や落ち度があるとする論調が存在することもあります。しかしそのようなことを言ってしまえば、発達障害であってもなくてもお子さんは傷付きます。
そして、そもそも良い・悪いのは問題でもありません。いじめがあるから取り除く必要があるというシンプルな話です。
いじめを引き起こしている要素を取り除くことが重要
まとめとなりますが以下のように考えることをおすすめします。効率よくいじめをケアすることができますし、親としての精神的負担も減らすことが可能となります。
- 発達障害のお子さんはいじめられやすいというのは単なる事実
- 良い、悪いを考えてもあまり意味がない
- いじめられる側に原因があるという論調は絶対にNG
- いじめを引き起こしている要素を取り除いていく
難しいことだとは思いますが、あまり感情的になると具体的な行動を進めにくくなるでしょうから、少なくともお子さんの前では冷静に、和やかに愛情を伝えたり必要なサポートをしたりすることをおすすめします。
発達障害のお子さんがいじめられることをケアするための8つの方法
それでは発達障害のお子さんがいじめられることを防いだり、いじめをなくしたりするための方法をいくつか挙げていきます。項目は多いですがどれも効果が期待できることですから、できそうなものを取り入れていただければと思います。
実はそれほど特別なことが求められるわけではありませんから、冷静にお子さんに寄り添うつもりで取り組むことをおすすめします。
1:普段からお子さんの話を否定せずに聞く
日頃からお子さんの話を否定せずにじっくり聞くようにすることで、お子さんは話せば聞いてくれると考えるようになります。すると、例えば、学校で嫌なことがある、○○君が嫌なことをしてくるなど、言いにくいことでも言ってくれるようになります。
逆にお子さんに何か言われて「それは違うんじゃない?」と返したり、鼻で笑ったり、不機嫌になったりすると、お子さんとしては相談しない方がいいという感覚になり、親に対して言いたくても言えないことが増えていくかもしれません。
特に発達障害の場合、この話題なら話しても親は不機嫌にならないなどの判別ができず、何も話さない方がいいと考える可能性もありますから、コミュニケーションをするにあたっては細心の注意が必要です。
2:親がこまめに「何かあったの?」と聞く
それでもお子さんの方から話さない場合もありますから、親からもたびたび「何かあったの?」と聞くようにしましょう。一見するといつもと変わらない様子であっても、お子さんが心の内へ一人で悩みを抱え込んでいるケースは少なくありません。そのため、普段から定期的に声をかけることが大切です。
特に発達障害の場合は自分の気持ちが整理できず、モヤモヤしていて自分でも何を感じているのかわからないという状態になることもあります。ですが、親が聞き出していくうちに整理でき、ようやく自分の辛い気持ちやいじめられている事実に気付くかもしれません。話しかけてもうっとうしがられることもあるかもしれませんが、それでもこまめに話しかけることが大事です。
3:変化に気付く|発達障害の特性ではない「異変」を察知
発達障害の特性がゆえに、これくらいならあり得ると異変を見過ごしてしまう場合もあるかもしれませんが好ましくありません。「特性」と「異変」を判別できるように常日頃からお子さんの様子を観察しておくことが大事です。そして例えば以下は異変と言えます。
- 普段以上の注意力散漫、集中力低下
- 普段以上にこだわる
- 無気力かと思いきや、突然かんしゃくを起こす
- 不眠気味、寝起きの悪さ、食欲低下、頭痛や腹痛などの体調の変化
- アザやケガが多い
- 普段以上に持ち物の紛失や破損が多い
4:登下校に付き添う、送り迎えをする
心配な様子があれば、お子さんの登下校に付き添ったり、送り迎えをしたりすることをおすすめします。これによっていじめの兆候や、お子さんが何で嫌な思いをしているのかなどが分かるかもしれません。
ただし小学校高学年くらいからは、ぴったり付き添うと、それによってからかわれていじめにつながる可能性もあります。そのため、少し離れて歩いたり、トラブルが発生する場所だけ見守ったりするなど配慮するといいでしょう。
5:登下校時などに他の子どもにも挨拶をする
登下校に付き添ったときなどに、他の子どもにも挨拶などをすることをおすすめします。見守っていると示せるからです。ただ怖がらせては、それ自体がいじめの原因になりかねないので、あくまで優しく、明るく挨拶をすることが大事です。
また、他の子どもにも声をかけることで、お子さんの友達にも興味を持ってくれている、友達と何かトラブルがあったときは助けてくれるはずと安心させることができます。親が自分の友達のことも認識してくれるというのは単純に嬉しいことでもあります。親子でコミュニケーションを取るときの話のネタにもなることでしょう。
6:イベントの前後や季節の変わり目などは注意
絶対に登下校に付き添う必要があるわけではないものの、運動会前後のイベントの前後や季節の変わり目などでは特に注意して見守ることをおすすめします。もちろん、あなたのお子さんの傾向に合わせて対応していただければと思います。
普段から心身ともに疲れやすい発達障害のお子さんは、こういった時期にさらにストレスを感じ、それによってトラブルを招くことが多くなるかもしれないためです。
7:他の保護者とも交流する
他の保護者とも交流することで情報共有がしやすくなります。例えば、○○という場所は危ないらしい、○○君と□□君が揉めているなどです。LINEの連絡先などを交換しておくといいでしょう。ただ、情報が偏ったり、トラブルを起こした子どもやその保護者を糾弾したりすると、保護者間いじめさえ始まってしまう可能性がありますから気を付けてください。もちろんそこから何らかのルートで子どもにも広まるかもしれません。
他の保護者と仲良くなるのもいじめを防ぐためには良いことですが、悪口は言わない、特定個人の印象が悪くなる、不確定情報は言わないなどのことを心掛けるべきです。
8:気になることがあれば「事実」として先生に
気になることがあれば、細かなことでもその「事実」を先生に伝えることも大事です。一つひとつのトラブルは些細なことであっても積み重なればどこかで爆発して、いじめにつながる可能性があるためです。例えば以下のようなことを書きます。
- 朝腹痛を訴えることが多くなりました
- 持ち物の紛失や破損が多くなりました
- 運動会へのプレッシャーを強く感じているようで愚痴が増えました
事実を伝えるだけですから、基本的に先生の対応に親は介入しません。しかし、だからこそ現場を見ている先生のフラットな目に任せることができます。必要であれば先生から何らかの報告が入るはずです。
いじめの兆候を「見える化」に取り組んでいく|発達障害ケア
いじめをケアする方法を8つ紹介しましたが基本的にはすべて、いじめやその兆候を「見える化」することを目的としています。見えないままでは効果的な対応はできません。事態がうやむやなまま不満や傷つきが積み重なり、いずれ大きな問題として表面化してしまいます。
いじめられているかもしれないのであれば、それを具体的に突き止めて、本当にいじめられているのであれば必要な対応をします。いじめにつながる要素についても、できる限り「目」で確認してやはり対処します。これを親、先生、他の保護者などとも協力して進めていきましょう。
まとめ
発達障害のお子さんのいじめのケアですが、いじめそのものやいじめにつながる要素が発生しないように取り組んだり、すでに存在している「危険要素」を取り除いたりすることが大事です。
漠然といじめがあったら言ってほしいとお子さんや先生に伝えるだけでは解決が難しくなりますから、今回紹介した内容を参考にぜひ具体的に行動していきましょう。